コラム
精神科訪問看護では外出支援はしてもらえる!?依頼前に気になることを解説

・精神科訪問看護はどんなことをしてくれるの?

・外出が困難な時に訪問看護を利用して外出支援は受けられる?

・自宅以外で精神科訪問看護を利用できる?

精神科訪問看護の利用において、このような疑問を持ってはいませんか?

精神科訪問看護を利用する際、外出支援を受けることは可能です。ただし、外出支援を受けるためには医療保険を利用することはできません。自費での利用となります。

利用者が一人暮らしなどの生活状況や、病状によっては受診や外出支援を必要とする場合があります。また、外出支援の中でリハビリを兼ねた自宅周辺の散歩は医療保険内の看護として利用できます。

外出ができないと思って自宅に閉じこもりになると、病状の改善が遅くなったりストレスが溜まったりしてしまい、状況によっては再入院が必要となり在宅生活が困難になってしまいます。

精神科訪問看護の外出支援をうまく利用し、症状の安定や改善を目指したいですよね。

今回は、精神科訪問看護を利用する目的、精神科訪問看護の役割と外出支援を受けることについて解説します。

これから精神科訪問看護を利用しようと検討している方、現在も利用中で外出支援を受けたいと考えている方などは、是非ともこの記事を参考にしてみてください。

精神科訪問看護とは

精神科訪問看護とは、精神疾患を持つ方に対して、訪問看護師やセラピストが自宅または施設へ直接訪問し、精神科医療に関する専門的な助言や支援を行うサービスです。

住み慣れた環境で専門スタッフのサポートを受けることで、不安を解消し安心して生活を送ることができます。

精神科訪問看護を利用する目的

訪問看護とは、医療依存度の高い利用者への医療ケアや、日常生活に介助を要す利用者へ住み慣れた環境や地域で生活を送るための支援を行う訪問看護と、精神疾患を持つ方が住み慣れた環境で安心して生活を送るために支援する精神科訪問看護があります。

精神科訪問看護を利用する目的としては、精神疾患の治療をしながら自宅で生活している本人だけではなく、家族ともコミュニケーションを取りながら家族の負担も軽減できるようにサポートします。

精神科訪問看護の役割とは

精神科領域において、訪問看護の役割とはどういったことがあるのでしょうか。

この項目で詳しく解説します。

再発・再入院の予防

外来受診で精神疾患の治療を継続している方だけではなく、これまで治療のために入院をしていた方にとっては症状の再発や再入院をすることはとても辛い状況になってしまいます。

中には長期の入院を余儀なくされ、やっと退院して自宅に帰ったのに再入院になってしまうと生活においての意欲も低下してしまいかねません。

精神科訪問看護を利用することで、症状の再発や悪化、できるだけ再入院を予防するような支援を受けることができます。ただし、状態によっては再入院を要すケースもあります。

自立支援

精神科領域における自立支援とは、その人らしく暮らすために自立できるように支援することです。

自立するためには、自ら考え自分らしく暮らせるために支援が必要であり、精神科訪問看護においてはその役割を果たす必要があります。

精神科訪問看護は、根本的な治療が難しいとされている精神疾患の医療費負担を軽減する公的負担医療制度「自立支援医療制度」を利用できます。

生活支援・生活リズムの調整

訪問看護では、病気や障害によって日常生活においてセルフケア不足になっている方に対し、看護師が入浴介助や歩行訓練、排泄ケアなどを実施します。

昼夜逆転や暴飲暴食、睡眠時間をとれていないなど生活リズムが乱れてしまうと病状の悪化を招いてしまいます。訪問看護を利用することで、日常生活での「衣・食・住」の維持ができるようなサポートを受けられます。

社会資源活用

利用者が在宅で安心して治療や受診、社会復帰を目指すためには以下のような社会資源があります。

・自立支援医療制度

・医療保険の高額医療制度、限度額適用認定制度

・患者様を地域で支える仕組み・地域生活支援事業

・訪問看護

・居宅介護:ホームヘルプサービス

・自立訓練:生活訓練、宿泊型自立訓練

・共同生活援助:グループホーム

・地域の生活拠点・地域活動支援センター

・就労移行支援

・就労継続支援A型

・就労継続支援B型

・障害者就業・生活支援センター

・ハローワークでの就労支援

・障害年金

・障害者手帳精神障害者保健福祉手帳

・精神福祉サービスの申請・利用者負担

これらの社会資源を活用するためには情報が必要です。精神科訪問看護によってこれら情報を提供し、利用者に合ったサービスを利用できるようにしていきます。

社会復帰支援

長期の入院を余儀なくされていた方にとって、退院して自宅で生活を送っても周囲の人や環境にすぐに慣れるのは難しいです。

精神科訪問看護を利用するのと同時に就労支援を受けるのも社会復帰の一歩となります。

就労支援とは、障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援する法律)のもと、就労を希望する障害のある方を企業などの就労につなぐ事業として作られた仕組みのことです。

精神疾患があるため、日常生活だけではなく社会生活も含めて支援を受けられ、就労のための訓練なども受けることができます。

就労支援には、以下の4つがあります。

  • 就労移行支援
  • 就労継続支援A型
  • 就労継続支援B型
  • 就労定着支援

服薬管理・指導・支援

精神科領域における専門の訪問看護スタッフが介入し、利用者本人に合った服薬管理・指導・支援を受けられます。

症状のモニタリングと同時に、処方された内服薬をきちんと服用できたかの確認を行います。

今の管理方法は本人にとって管理しやすいのか、管理するための物品は何が必要かなどを本人と看護師や作業療法士と共に問題解決をしていきます。

精神疾患を持っている方だけではなく、治療を継続させるためにも自宅での内服薬管理は重要です。

リハビリテーション

精神科訪問看護では、看護師だけではなく作業療法士のリハビリテーション支援を受けられます。

自宅で生活する上で、食事・運動・調理などのさまざまな日常生活動作の指導やリハビリテーションを受けられます。作業を行うことで、生きがいを持ち、作業を持って社会とのつながりができるような介入をします。

精神症状のセルフコントロール

自宅に帰ってから、自分1人で治療を継続できない場合があります。

精神科訪問看護では、精神症状のセルフコントロールができるように看護師や作業療法士など専門のスタッフが支援します。

病状観察

病院に入院している時には、24時間医療スタッフの目が行き届きますが、在宅生活になると症状の悪化に気づきにくい場合があります。

精神科訪問看護のスタッフにより、服薬の管理・指導、自己判断で服薬を止めないような支援が必要です。

また、副作用や症状の出現に注意して状態をしっかり見極め、服薬管理だけではなく観察や早期発見を行い、主治医へ報告したり、薬剤師とのやりとりをしながらサポートをします。

家族支援

精神科訪問看護においてコミュニケーションが重要です。利用者本人や家族とコミュニケーションを取りながら小さな変化も見逃さずに観察していきます。

対人関係では、他人だけではなく同居してるご家族ともコミュニケーションを取るのが難しく、関係性が悪化している可能性もあります。精神科訪問看護では、対象者本人だけではなく、家族へのケアも大切な支援です。

精神科訪問看護において、利用者本人の対人関係の維持・構築を目指すと同様に、家族とも円滑なコミュニケーションが取れるようにサポートします。

医療機関との連携

精神科訪問看護ではかかりつけの主治医の指示の元、利用者の自宅へ訪問します。主治医だけではなく、作業療法士、相談支援専門員、担当保健師、ヘルパー事業など、ケアを行うスタッフとの連携が重要です。

症状の悪化や緊急時の対応など、連絡を密に行うことで精神疾患を持つ本人や家族が安心して生活できます。

外出支援を受ける方法

精神科訪問看護は、自宅への訪問がほとんどです。状況によっては、1人で外出をしないといけないこともあります。その際には、医療保険を使った訪問看護を受けることはできません。

精神科訪問看護において、外出支援を受けるにはどうしたら良いのでしょうか。

この項目で詳しく解説します。

自費で訪問看護を利用する

病院受診の際に医師からの説明を理解することに不安がある方は、自費であれば訪問看護の付き添いサービスを受けられます。

車からの乗り降りのサポートも受けられ、移動や受診の同席によって本人の負担も軽減されます。

このサービスを利用するためには、自費付き添いサービスを実施しているか、費用はどれくらい必要かを事前に確認しておきましょう。

訪問介護を利用する

訪問介護を利用している場合、介護保険や医療保険を利用せず自費での付き添いサービスを受けることも可能です。

介護の専門家であるため、車からの乗り降りのサポートを受けられるため本人も家族も安心して移動することができます。

この自費での付き添いサービスを実施しているかだったり、費用はどれくらい必要かは事前にヘルパー事業所へ確認しておきましょう。

介護タクシーを利用する

病院などへの移動のために介護タクシーを利用するケースがあります。

介護タクシーとは、一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)に含まれるサービスです。

普通のタクシーではなく、介護タクシーは介護を必要とする方に対し、要介護認定を受け区分によって介護保険を利用して使います。そのため、自己負担額を軽減することができます。

介護タクシードライバーは介護資格を持ち、乗り降りのサポートを受けることができます。

福祉タクシーを利用する

福祉タクシーは介護タクシーとは少し違いがあります。

福祉タクシーは、身体障害者手帳や療育手帳を取得する方が対象で要介護認定を受けている方は含まれません。社会福祉を目的とした公共交通機関を利用しての移動が困難な方を対象としたサービスです。

また、福祉タクシードライバーは介護資格が不要で乗り降りのサポートなどは法律上してはならないといった決まりがあります。

リハビリを兼ねた外出支援

病院受診などの長距離の外出ではなく、自宅周囲の歩行訓練・リハビリを兼ねた外出ができます。

その際は、医師が出している指示書によってリハビリが必要と記載されていれば医療保険で利用が可能です。ただし、訪問看護の時間が限られており、長時間の訓練が難しくなる場合があります。

精神科訪問看護でできないこと

精神科訪問看護においてできないことも存在しています。

詳しく見てみましょう。

薬剤の処方

精神科訪問看護では、薬剤の処方はできません。これは精神科訪問看護に限ったことではありません。

薬剤が足りなかったり、不足しているからといって訪問看護から処方することはできませんし、利用者に代わって薬剤を処方してもらうこともできません。

家事支援

訪問看護においては、身体的な看護だけでなく医療機器の管理や終末期のケア、医療処置に対応しています。

これらは看護サービスであり、看護以外のサービスは提供されません。

例えば、掃除や洗濯、調理、買い物同行などの家事はヘルパーのサービスを活用する必要があります。

そのため、訪問看護の時間内で家事のために時間を割いたり、延長して家事を実施することはできません。精神科訪問看護も同様です。

家族の世話

家事と同様、精神科訪問看護・訪問看護では家族の世話はできません。

これは、先述した家族への支援とは全く違います。家族への支援が必要な場合は、支援が必要な方への訪問看護指示書が主治医から出されてからの利用開始となります。

ペットの世話

精神科訪問看護も訪問看護もペットの世話はできません。

自宅以外での訪問看護の提供

訪問看護は、自宅や住所のある施設へのサービスであり、病院や介護医療院への訪問はできません。

また、介護老人保健施設にも、訪問看護サービスは提供できません。

施設によっては、訪問看護サービスの提供が可能です。

以下の施設は訪問看護の提供が可能です。

  • 小規模多機能型居宅介護施設に住所をおいている場合
  • 特別施設入居者生活介護(外部サービス利用型)

特定施設入居者生活介護としての指定を受けてない以下の施設

  • ケアハウス(軽費老人ホーム)
  • 有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅等

末期癌の方のみ、医療保険で利用可能

  • 特別養護老人ホーム
  • 小規模特別養護老人ホーム
  • 短期入所生活介護

特別訪問看護指示書の交付の場合等に訪問可能な施設

  • グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
  • 小規模多機能型居宅介護(宿泊中の場合)
  • 特定施設入居者生活介護(一般型)

例えば、旅行先や親戚宅に宿泊中でのサービスは困難です。

住居以外でサービスを利用したい場合は、自費で対応してもらえるかは利用している訪問看護事業所へ確認しましょう。

精神科訪問看護に外出支援を受けるメリット

精神科訪問看護の外出支援を受けることでメリットはたくさんあります。

それぞれ見ていきましょう。

状態の変化に対応してもらえる

精神疾患において小さな変化に気づけるかどうかで治療の継続に大きく影響するケースも少なくありません。

普段から利用者の状況を理解している訪問看護スタッフが外出支援を行うことで、小さな状態の変化にもすぐに対応できます。

受診した際には状況を主治医へ報告してもらえる

普段の生活状況や困りごと、うまくいかないことなどを訪問看護スタッフの同行によって医師へ報告することもできます。

精神疾患の状態によっては、普段はうまく話せるのに病院ではうまく話せなくなったり、その日によって体調が大きく変化する方もいらっしゃいます。

細かい変化などを普段関わりのある訪問看護スタッフが仲介役となって報告してもらえるのメリットは大きいです。

受診の際に医師からの説明を理解することが不安だったり、自分の訴えをうまく伝えられなかったりした場合に、日頃関わりのある訪問看護のスタッフが同席することでやりとりがスムーズになります。

また、医師の意見を看護師の視点から噛み砕いて理解できるように聞くこともできます。

自宅周辺の散歩ができる

住み慣れた自宅周辺を、普段から関わりのある訪問看護スタッフと共に散歩や歩行訓練を行えることで少しずつ自ら外出できるようになります。

たとえドアから出ただけだったとしても、その人にとっては大きな一歩です。

少しずつ社会復帰できるような環境を整えます。

訪問中に相談しできなかったことを話せる

誰の協力も得ずに外出できる方もいれば、移動の介助が必要な方もいらっしゃいます。

病状によって、陰性症状が出現しつつある状態だったり、精神疾患だけではなく基礎疾患や怪我などによって介助を要する場合もあります。

訪問看護スタッフが同行することで、外出時の移動状況を確認できます。

どんな表情や移動方法で受診するのか、環境が変わることでリラックスできて普段話さなかった悩みを打ち明けられたりなど、これまでに明らかになっていなかった情報を得られる機会にもなります。

外出支援をうまく利用して病状の安定や改善を目指しましょう。

いかがでしたか?精神科訪問看護において、医療保険内での外出支援だけは自費での利用となりますが、訪問中の自宅周辺の散歩などの外出支援を受けられることをご理解いただけたと思います。

病院での療養生活が落ち着き、自宅での生活が始まってから外出できずに自宅に閉じこもりになってしまうと、精神的にも落ち込んでしまったり、訪問看護師とすら関わりたくないと感じてしまう状態になります。

精神科訪問看護の役割と目的、精神科訪問看護でできないことを理解し、自分に合った看護サービスを選択し利用することが重要です。

散歩などの外出により歩行訓練を兼ねて気分転換を図り、活動範囲を広げ、病状の安定や改善を目指しましょう。