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コラム
精神科訪問看護が来てほしくないと言われるの?その原因と対応を解説

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・訪問看護で訪問の拒否をされることはあるの?

・来てほしくないと言われたらどうしたらいいの?

・来てほしくない理由って何?

精神科訪問看護ステーションで働いている方で、このように訪問を拒否された経験はありませんか?

訪問看護の利用が開始となってから、利用者側から訪問を拒否されることはあります。

拒否された理由がわからないままにしておくと、利用者との信頼関係が崩れるだけではなく、病状の悪化や危険行動の悪化を招いてしまう可能性があります。

精神疾患を持つ方の治療の場が病院だけではなく在宅へ移行し、精神科訪問看護の需要が高まってきています。

そんな中、「訪問看護に来てほしくない」と言われてしまう状況もあるようです。利用者さんにそのようなことを言われるのは辛いですが、それには理由があるのです。

今回は、精神科訪問看護において訪問を拒否される理由と対策、精神科訪問看護が注意すべき危険行動と対処法について解説しています。

これから精神科訪問看護ステーションで働いてみたい方、精神科特化ではないが精神科領域の利用者さんも対象としている訪問看護ステーションで働きたい方、どちらかに現在働いている方は是非ともこの記事を参考にしてみてください。

精神科訪問看護とは

精神科訪問看護とは、精神疾患によるサポートが必要な方に対して、ご自宅やグループホームへ訪問看護師が訪問し、精神科医療に関する専門的な助言や支援を行うサービスです。

住み慣れた環境で専門スタッフのサポートを受けることで、不安を解消し安心して生活を送ることができます。

精神科訪問看護では、精神疾患を持っていたり精神的なサポートが必要な方へ社会生活機能の回復を目的としてさまざまなサービスを行います。

訪問する看護師は、精神科領域の研修を受けていたり、精神科病院の勤務経験があったりと専門的な知識と経験を持ち合わせています。また、精神保健福祉士や作業療法士がご自宅へ訪問することもできます。

訪問看護を拒否される理由

訪問看護で働いていて、訪問を拒否された経験はありませんか?

訪問看護を拒否されるなんてことがあるのかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、拒否されることはあるのです。

拒否されるのはスタッフにとって辛いことですが、拒否するからには理由があるのを忘れてはいけません。

この項目では、訪問看護を拒否される理由について解説しています。

スタッフへの不信感

まずは、訪問看護のスタッフに対する不信感から訪問を拒否するケースがあります。

訪問看護師も訪問するセラピストも利用者との信頼関係を築こうとするのは当然のことですが、利用者側からは小さな不信感が徐々に大きくなっていくことで、自宅へ来てもらいたくない感情に変わってしまいます。

きっかけは些細なことだったとしても、スタッフへの不信感が募ってしまっては修復にはかなりの時間を要してしまう状態になります。

本人が訪問看護を不要と思っている

そもそも本人が訪問看護を必要としていない、不要と思っている場合に訪問を拒否されるケースがあります。

自分は誰の手を借りなくても生活できる、治療を続けられると思っているのかもしれません。

「来てほしくない」というより「来なくていい」という表現にもなるでしょう。

他のスタッフが良いと思っている

どんな人間関係でも相性がありますよね。

現在訪問しているスタッフではなく、他のスタッフに訪問してもらいたいと思っているのかもしれません。

「来てほしくない」のではなく「他のスタッフがいい」という気持ちだったり、現在訪問中のスタッフが来てほしくないから他のスタッフに来て欲しいと思っている場合もあります。

訪問看護のケアの質が悪い

訪問看護を拒否するのは、ケアの質自体が悪くて不快感が強くなっている場合があります。

これまでさまざまな人からケアを受けた側の利用者から見たら、その経験と訪問看護のケアを自然と比べてしまうことがあるからです。

そのため、ケアの質が悪いと感じた場合には「来なくていい」と拒否されてしまいます。

スタッフが不潔

訪問看護のスタッフに清潔感がない時に、訪問を拒否される可能性があります。

綺麗好きだったり、病気の状態で綺麗にしていたい利用者にとってみたら、制服や靴下に清潔感がなく、破れていたり汚れていたりした時には、身の回りが汚されると不信感を抱いてしまいます。

訪問看護スタッフの清潔感の有無も利用者にとっては大切な判断基準でもあります。

男性が良い・女性が良い

利用者によっては、同性の方が相談しやすかったり、異性の方が心を開きやすかったりという希望もあります。

入浴や清潔援助を男性看護師にしてもらうのは嫌で触れられたくなかったり、逆に男性の利用者から見て女性の看護師でも問題ない場合もあります。

「男性が良い」「女性が良い」という希望は、病院でも時々耳にすることではありますが、訪問先ではより注意すべき内容とも言えます。

中には、一度でも嫌だと感じてしまうと「訪問看護に来てほしくない」と思われて介入が困難になってしまう可能性もあります。

認知症がある場合

訪問看護を利用する方の中には、認知症を患っている方もいらっしゃいます。

認知症のタイプによっては、これまでとの人格が大きく変わったり、うまく現状を理解できずに「来てほしくない」」と拒否されるケースもあります。

疾患の悪化によるもの

認知症だけではなく、精神科疾患や病状の悪化によっては訪問看護の介入を拒否されるケースがあります。

本当は来てほしくても体調面で受け入れられなかったり、精神科疾患によっては他人を受け入れられなかったりと状態はさまざまです。

そういう場合は、利用者の体調や病状に注意して観察が必要です。

家に入れたくないと思っている

自分のテリトリーである家に、他人である訪問看護を入れたくないと思っている場合もあります。

病状の悪化やスタッフの清潔感が無い、不信感以外にも誰も受け入れられない状態になっている可能性もあります。

訪問看護の必要性を理解できているか、状態の変化はないかを注視する必要があります。

期待していたサービスではなかった

訪問看護の利用開始時には、どんなサービスを受けたいか事前に説明を受けています。

利用者自身が期待していたサービスではなかった時に、スタッフへの不信感が強くなり「来てほしくない」と拒否されてしまう可能性があります。

どんなサービスを期待しているのか、これまでどのような療養生活を送っていたかを事前に確認しておく必要があります。

訪問看護を拒否されたときの対策

訪問看護を実際に拒否されたらどうしたら良いでしょうか。

利用者との信頼関係を取り戻したいですし、サービスの再開に繋げたいですよね。

この項目で具体的に解説します。

スタッフを変える

訪問看護の介入を拒否された場合は、スタッフを変えてみることから始めます。

拒否されたスタッフから現状を詳しく確認する必要はありますが、そのスタッフとしては明確な原因がわからない場合もあります。

スタッフのキャラクターや年齢、経験年数などを考慮して違うスタッフが訪問して利用者との状態観察を続けられるようにしましょう。

原因を考えてその人を責めない

訪問拒否の原因を考えているときに、利用者自身を責めないようにしましょう。また、拒否されたスタッフを責めたりもしてはいけません。

原因は何だったのか明確にして、その問題をチームで解決していけるようにしましょう。

ケアの質を上げる

これまでのケアの質はどうだったかを検討します。

訪問を拒否されてしまった原因を明確にして、これまでのケアで十分と考えずに質を上げるようにしていきましょう。

コミュニケーションはどうだったか、ケアの手技はどうだったかを再検討する必要があります。

スタッフ間で連携を図る

訪問を拒否された原因を明確にして、解決策をスタッフ間で話し合いましょう。これまで訪問していたスタッフだけで対応するのではなく、他のスタッフも連携を図っていきます。

これまで気付かなかったことも、スタッフ間での連携の中で明らかとなっていきます。

利用者の体調や行動・言動をアセスメントする

利用者の体調や行動・言動はどうだったかアセスメントしましょう。

スタッフへの不信感や違和感だけではなく、病状の悪化や新たな問題が発生している可能性があります。

拒否した行動や言動だけで判断しては、問題の真相がわからないままになってしまいます。

現状をアセスメントし、解決策を講じていきましょう。

内服薬の管理状況を確認する

利用者の中には、内服薬をうまく管理できていない方もいらっしゃいます。また、自分で管理していても、病状の悪化や生活状況によっては薬の飲み忘れだったり拒薬をしている場合があります。

本人や家族の了解を得て、内服薬の管理状況の確認をしましょう。

管理状況を確認した後は、どうやったら医師の指示通りに内服薬を服用していけるか検討し、カレンダーや小箱を使った管理をしたり、家族へ依頼し毎回本人へ私てもらうなどの対応策を具体的に実施してく必要があります。

主治医や保健師へ連絡・相談する

病状の悪化や行動・言動の状態によっては、主治医や保健師へ連絡・相談する必要があります。

病院であれば24時間患者の状況が分かりますが、自宅での生活になるとそうはいきません。

どのような生活環境なのか、内服薬の管理状況はどうしているか、言動や行動に変化が起きていないかを主治医へ報告し、状態によっては早期に受診が必要と指示が出る場合もあります。

精神科訪問看護が注意すべき危険行動

精神科訪問看護において、注意すべき危険行動があります。

この項目で詳しく解説します。

希死念慮(自殺願望)

希死念慮とは、自殺願望とも言われ「死にたい」と考えてしまったり実際に自傷行為によって自殺を図ろうとしてしまいます。

このような行動や言動がある場合には、すぐに主治医へ連絡して対応を検討します。

窒息・誤嚥

窒息や誤嚥も命の危険に直結します。

認知症があってなんでも物を口に入れようとしたり、食事をうまく飲み込めないことで窒息・誤嚥してしまう可能性がないかを事前にアセスメントする必要があります。

転倒・転落

足の筋力が低下したり、病気のためにうまく歩けない方もいらっしゃいます。また、内服薬の効果によっては傾眠傾向となることで転倒や転落を起こしてしまう場合があります。

転倒や転落を起こしてしまうと、骨折だけではなく打ちどころが悪ければ頭部打撲などによって命の危険も起こしてしまいます。

看護師や家族への乱暴な言葉や暴力

これまでは穏やかに過ごしていても、徐々にまたは突然看護師や家族へ乱暴な言葉や暴力を振るおうとした場合は注意が必要です。

小さな行動だったとしても、これまでとの変化が見られます。すぐに主治医へ連絡して対応を検討します。

攻撃的な行動

乱暴な言葉や暴力と同じく、攻撃的な行動にも注意を払います。

自傷だけではなく、突然誰かに攻撃するような行動が見られた場合は対処が必要です。自傷他害を起こさないためにも主治医へ連絡して治療内容の検討をしないといけなくなります。

危険行動が起きそうな場合の対処法

注意すべき危険行動が起きそうな場合は、どういった対応をしたら良いのでしょうか。

この項目で詳しく解説しています。

事実を共有する

まずは、危険行動の事実を共有しましょう。

利用者自身の身を守ること、家族の身を守ること、スタッフの身を守ることが大切です。

事実を共有し、対応策を検討します。

必要な場合は複数人で対応する

危険行動が起きそうな場合には、必要であれば複数人で対応するようにしましょう。

主治医の指示書には、複数人訪問の必要性について記載されている場合があり、その際には複数人での訪問が可能となります。

また、指示書の記載がない場合は、主治医へ連絡して対応を検討します。

チームで連携し話し合う

危険行動が起きそうになった場合、チームで連携して話し合います。

利用者や家族の身を守るだけではなく、スタッフの身を守ることも大切です。何が一番優先される対応なのか、いつ・誰に連絡して対応していくかを県とします。

主治医やケアマネージャー、保健師へ報告・連絡する

状態によっては主治医やケアマネージャー、保健師へ報告・連絡します。すぐに病院を受診した方がいい場合もあり、中には受診させるのも困難な状況になってしまうこともあります。

病状の変化だけではなく連携をスムーズにとるためにも、普段から連絡を密に取るようにしておきましょう。

刃物や危険物の取り扱いについて話し合う

病状の悪化が見られてから話し合っては危険です。

自宅で生活する時には、刃物や危険物の取り扱いについて家族と話し合いをしましょう。また、訪問看護のスタッフの中でも取り扱いはどうしているかの情報共有をしておきましょう。

危険予知訓練(KYT)で危険を未然に防ぐ

病院では、インシデントやヒヤリハットが出た時に行う「危険予知訓練(KYT)」を訪問看護でも活用してみましょう。

危険予知訓練を行うことで、危険な状態にならないため、危険な状態が起きた時の具体的な対処法をスタッフ間で共有することができます。

また、これまで起きた出来事についても危険予知訓練で振り返ることもできます。

家族への説明・サポートを行う

病状悪化によって危険行動を起こしてしまう利用者を目の前にしたときに、家族はショックを受け心身の負担も大きくなってしまいます。また、訪問看護スタッフへも迷惑をかけてしまったと自分を責めてしまう可能性もあります。

家族へ現状を説明し、さまざまなサポート体制を整えていきましょう。

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利用者との信頼関係を構築させ、安心して生活を送れるような介入をしましょう

精神科領域において訪問看護を拒否される原因や対策についてご理解いただけたと思います。

精神疾患を持つ方の治療の場が病院だけではなく在宅へ移行し、精神科訪問看護の需要が高まっている中で、疾患や症状は人それぞれであり対応も様々です。

病院と違い、看護師1人または2人でのケアとなるため、利用者との信頼関係はとても重要になります。訪問看護スタッフへの不信感を抱いてしまったり、訪問看護自体が不要であると思っていると訪問の受け入れも難しくなってしまいます。

在宅での療養生活を安心して過ごせるためには、看護の視点でのケアが重要であることを理解してもらうような介入が重要であり、危険行動の兆候がある際には早期の対応を行わないといけません。

利用者との信頼関係を構築し、利用者と家族が安心して生活できるような介入をしていきましょう。