コラム
訪問看護は1日何回利用できる?2時間ルールも併せて紹介

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・訪問看護の利用回数に上限はあるの?

・訪問看護の2時間ルールって何?

・医療保険を使って訪問看護は週に何回使えるの?

できればたくさん訪問看護を利用したいと考えているけど、このような疑問があって希望を聞いてもらえないと悩んでいる方はいらっしゃいませんか?

訪問看護では、利用回数や利用時間の制限はあります。

しかし、保険の種類や特別訪問看護指示が出たり、病状などによっては回数や時間を増やすこともできます。

これを知らないとせっかく利用できるのに使えなかったと後悔してしまったり、思いのほか使えなかったとがっかりしてしまうかもしれません。

せっかく利用するのだから、保険制度についても理解しておきたいですよね。

今回は、訪問看護で使える保険の種類から利用回数や時間の制限や、訪問看護における2時間ルールについて解説しています。

これから訪問看護を利用したいと検討中の方や、訪問看護ステーションで働きながら保険制度を勉強したい方は、是非ともこの記事を参考にしてみてください。

訪問看護で使える保険とは

まず、訪問看護を利用する際に使える保険は何があるかご存じでしょうか。

普段、病院を受診した時には医療保険を使いますよね。訪問看護でも医療保険を使うことは可能です。

また、介護保険を使うことも可能です。

ただここで注意しないといけないのは、医療保険と介護保険はどちらが優先されるかということです。

優先されるのは介護保険です。

介護保険の主な利用条件については、以下の3つがあります。

・医師から訪問看護指示書の交付があること

・要介護や要支援認定を受けた65歳以上の人

・要介護や要支援認定を受けた40歳以上65歳未満で第2号被保険者16特定疾病を持つ人

40歳以上65歳未満の2号被保険者が介護保険を申請できる疾病は以下のとおりです。
  1. ※末期のがん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
  2. 関節リウマチ
  3. ※筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. ※進行性核上性麻痺大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  8. ※脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老病
  11. ※多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

※介護保険の利用者でも厚生労働省が定める疾病に該当する人は、医療保険の訪問看護となります。

医療保険が優先される条件とは何があるのでしょうか。医療保険を利用するためには、以下の3つの利用条件があります。

・医師から訪問看護指示書の交付があること

・40歳以上で要介護・要支援の認定を受けていない人

・40歳未満の人(特に重い病気の場合は、要介護や要支援認定を受けていても利用できる場合がある)

訪問看護で医療保険が利用できる「厚生労働大臣が定める疾病等(特掲診療科の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の者)」は、以下の通りです。
  1. 末期の悪性腫瘍
  2. 多発性硬化症
  3. 重症筋無力症
  4. スモン
  5. 筋萎縮性側索硬化症
  6. 脊髄小脳変性症
  7. ハンチントン病
  8. 進行性筋ジストロフィー症
  9. パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって、生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度のものに限る)
  10. 多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症及びシャイ・ドレーガー症候群
  11. プリオン病
  12. 亜急性硬化性全脳炎
  13. ライソゾーム病
  14. 副腎白質ジストロフィー
  15. 脊髄性筋萎縮症
  16. 球脊髄性筋萎縮症
  17. 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  18. 後天性免疫不全症候群
  19. 脊髄損傷
  20. 人工呼吸器を使用している状態

訪問看護に利用回数や時間に制限はあるのか

訪問看護を利用する際に、何回利用できるのか、時間に制限はあるのかと疑問はありませんか?

この項目では、医療保険と介護保険で訪問看護を利用する場合や、自費での利用や特別訪問看護指示書が出た場合の回数や時間の制限について解説しています。

それぞれ見ていきましょう。

医療保険を利用する場合

医療保険が適用される訪問看護では、基本的に1日1回で週に3回の利用制限があります。

ただし、先述した「厚生労働大臣が定める疾病等(特掲診療科の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の者)」この状態にある利用者に対しては、1日1回以上、週3回以上の訪問回数が認められています。

医療保険の長時間看護が受けられる場合

医療保険が適用された訪問看護において、1回の訪問時間は30〜90分の利用が可能です。だいたい60分で利用するケースが多いようです。

厚生労働大臣が定める疾病等(特掲診療科の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の者)で長時間の訪問を要する場合は、週1回に限って1回90分を超える長時間の利用も可能です。

介護保険を利用する場合

介護保険が適用された訪問看護では、訪問回数の上限はありません。ただし、介護保険で給付される金額は要介護度に応じた支給限度額であるため、支給限度を超えてしまった際の費用は全額利用者の自己負担になって請求されます。

1回の利用時間は、以下の4区分から必要性に応じて選択することができます。
  1. 20分未満
  2. 30分未満
  3. 30分以上60分未満
  4. 60分以上90分未満

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の訪問は週に120分までであり、この職種内で異なって訪問した場合も「セラピスト」というくくりで換算されます。

自費で訪問看護を利用する場合

自費で訪問看護を利用する場合は、利用回数や時間の制限はありません。介護保険や医療保険での訪問に足りない分のサービスを必要な分だけ受けることができます。

事業所によっては、病院受診などにおいて不安がある場合に「ナースアテンド」として利用することも可能です。

これは、通常の訪問先である自宅だけではなく訪問先の場所への制約がないためサービスが受けやすくなります。

また、清拭や夜間のおむつ交換など計画されているサービス以外の利用を希望した際に利用が可能かどうかは、自費での利用が可能かどうかを事前に事業所に確認が必要です。

保険を利用した時には1〜3割の自己負担だったのが、自費になると全額支払う必要があるため回数が増えるごとに負担も大きくなるため注意しましょう。

特別訪問看護指示書が出た場合

特別訪問看護指示書とは、訪問看護指示書と同一医師から交付される指示書であり、一人につき月に1回交付できます。

主治医が「週に4日以上の訪問看護の必要がある」と判断された場合に交付され、疾患や症状の制限はありません。

特別訪問看護指示書を利用すれば、介護保険ではなく医療保険が優先されます。週に4回以上の訪問看護を利用でき、14日連続で利用することも可能です。

特別訪問看護指示書は月に1回だけの交付ですが、条件付きで月に2回交付することもできます。

基準告示第2の1に規定する疾病等(別表7、別表8)「厚生労働大臣が定める疾病等(特掲診療科の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の者)」と、下記の別表8の特例に該当するケースでの利用です。

「特掲診療科の施設基準等別表第八」とは
  1. 在宅悪性腫瘍等患者指導管理
  2. 在宅気管切開患者指導管理
  3. 気管カニューレの使用
  4. 留置カテーテルの使用
  5. 在宅自己腹膜灌流指導管理
  6. 在宅血液透析指導管理
  7. 在宅酸素療法指導管理
  8. 在宅中心静脈栄養法指導管理
  9. 在宅成分栄養経管栄養法指導管理
  10. 在宅自己導尿指導管理
  11. 在宅人工呼吸指導管理
  12. 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
  13. 在宅自己疼痛管理指導管理
  14. 在宅配高血圧症患者指導管理
  15. 人工肛門、人工膀胱の設置
  16. 真皮を越える褥瘡
  17. 在宅患者訪問点滴注射管理指導料の算定

以下の状態にある場合は、月に2回まで交付できます。

  • 気管カニューレを使用している状態
  • 真皮を越える褥瘡の状態

訪問看護の費用

訪問看護を利用する際に、金銭面が1番の不安要素でもあります。

介護保険が適用とされた場合、要介護別給付の限度額や自己負担金の割合はどれくらいなのでしょうか。

また、医療保険の適用との違いはどれくらいなのでしょうか。

この項目で詳しく解説します。

要介護別給付限度額

医療保険には月の支給限度額の設定はありません。ただし、先述したとおりの特定の疾患や状態にある利用者に対しては、1日1回以上、週3回以上の訪問看護が認められています。

自己負担金の割合

保険別の自己負担金の割合は以下のとおりです。

保険の種類条件自己負担金の割合
介護保険要介護認定を受けている者月額の1割が基本(一定以上の所得がある場合は2〜3割)
医療保険義務教育の就業前月額の2割負担
医療保険義務教育〜70歳まで月額の3割
医療保険70〜75歳まで月額の2割(所得によっては3割)
医療保険75歳以上月額の1割(所得によっては3割)

訪問看護料金については下記記事で解説しています。

訪問看護における2時間ルールとは

聞きなれない「2時間ルール」という言葉ですが、訪問看護において知っておくべき重要なものです。

訪問看護の2時間ルール

訪問看護の2時間ルールとは、以下のとおりです。

  • 介護保険が適用となる訪問看護において、同一の利用者に同日2回以上の訪問を行う場合、訪問と訪問の間を概ね2時間以上空けなければならないこと。
  • 2時間以内に訪問を行った場合は、各時間を合算して請求を行います。
  • 2時間以上空いていない場合は、利用するサービスが違っていても1回の同じサービスとしてみなされます。

2時間ルールが決められた理由

要介護者の訪問看護は

  • 20分未満:313単位
  • 30分未満:470単位
  • 30分以上60分未満:821単位
  • 60分以上1時間30分未満:1,125単位

訪問時間が短いほど報酬の単位数は大きくなります。

長時間の訪問を1回行うよりも短時間の訪問を繰り返した方が請求できる報酬が大きく、場合によっては不適切な訪問看護を行なってしまうケースも出てくるかもしれません。

そのため、2時間ルールを設けることで1日に短時間の訪問を繰り返して報酬を高く請求することがないようにするためです。

2時間ルールの例外はあるのか

2時間ルールがあるとはいえ、訪問を受けた後に訪問してもらわなければならない状態になる可能性があり、ルールがあるからと困ってしまいそうですよね。

この2時間ルールに例外はあるのでしょうか。

詳しくみていきましょう。

緊急対応の場合

緊急時に関してはこの2時間ルールは適用されません。

別途料金が発生する「24時間対応体制加算」や「緊急時訪問看護加算」として緊急訪問看護を算定するため、2時間ルールの例外とされています。

例えば、30分以上60分未満で点滴留置を行なった後に転倒して緊急対応が必要な場合は適用されません。

20分未満の訪問

20分未満の訪問は、2時間ルールの例外です。

原則として、20分未満の訪問は、短時間かつ頻回な医療的処置が必要な利用者に可能とされています。

20分未満の訪問看護を行う算定要件は以下のとおりです。

  • 20分以上の看護師等(准看護師を除く)による訪問看護が週1回以上あり居宅サービス計画等に含まれている
  • 緊急時訪問看護加算を算定している(訪問看護を24時間行うことができる体制を整えている)

職種が異なる場合

訪問看護ステーションには、看護師だけではなく理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といった職種も所属しています。

看護師等の後に理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が訪問看護を行なった場合や、逆の場合は例外とされます。

この場合は、職種ごとに算定することができます。

しかし、同じ職種が続けて訪問看護を提供した際には合算します。

2時間未満の間隔の訪問はどうなるか

介護保険が適用となり、ケアマネージャーが計画を立てた段階で2時間以上だったが、やむを得ない理由で多少の時間のずれがあった場合も例外になります。

また、70分の訪問を行った後、2時間以内に40分の訪問を実施した際には1時間以上1時間未満の報酬を算定します。

訪問看護の利用制限を理解し、自分に合ったサービスを受けられるようにしましょう

ウィリングの精神科訪問看護サービスは下記ページよりご覧ください。

いかがでしたか?訪問看護を利用するための保険制度や、利用回数と時間の制限などについてご理解いただけたと思います。

訪問看護には、看護師だけではなく理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といったリハビリスタッフも含まれるため、利用回数や時間を考えながら利用スケジュールを管理していかなければなりません。

今回は、2時間ルールという言葉を初めて聞いたという方もいらっしゃったでしょう。

この2時間ルールも大切であり、知らないと自己負担額が増えたり、月末にかけて利用できなかったりしてしまうかもしれません。

また、2時間ルールを気にしすぎて緊急時の対応が遅れてしまったり緊急出動を躊躇してしまい利用者の状態悪化を招いてしまう危険性もあります。

利用したい保険や利用する方の病状や日常生活動作の状態に合わせたサービスが利用できるために、訪問看護師やケアマネージャーに相談することをおすすめします。

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