本記事ではこれから精神科訪問看護へのキャリアチェンジを検討するにあたり、事前に留意すべきポイントをご紹介してまいります。
「ネット記事でこんなことを見て少し不安を抱いている」「精神科へ挑戦したいが、怖いイメージがある」「しっかりキャリアを築けるだろうか」など漠然として不安や心配を感じている方も多いです。
ウィリングでもこのような相談を受ける機会が多いので精神科訪問看護の実態について是非ご理解いただければと思います。
目次
精神科訪問看護の難しさを事前に確認
転職前に精神科訪問看護の難しさを知って入社後のギャップ解消に繋げてください。
利用者さんとのコミュニケーション
利用者さんとのコミュニケーションを取っていると空返事の時や返答自体が無いことも多々経験します。中には精神症状や服薬による影響で円滑な会話が困難な方がいます。
無言の時間が続いてしまうと、つい自身のコミュニケーション能力が低く、利用者さんから必要とされていないと感じてしまう看護師さんもいます。
会話が続かず利用者さんとの関係性が築くことができていないと感じるとすごく焦ってしまうこともあります。
このようなことが続いてしまうと、「自分は精神科の訪問看護には向いていない」と落ち込み、辞めたくなってしまうことも。
初めて精神科訪問看護に挑戦する看護師さんの中ではこのようなことを経験する方もいます。
精神疾患を抱えている場合、考えがうまくまとまらず質問した内容と異なる方向に話が逸れてしまうことがあります。限られた訪問時間の中で、利用者さんの話に耳を傾けながら会話のイニシアティブを握っていく技術は、とても難しいですが重要な技術です。
イニシアティブを取りながら情報収集することに不慣れな場合、利用者さん主体のペースになりがちです。
結果的に必要な情報収集ができず、やりがいを見出せなくなってしまうことがあります。
人での対応による心理的・肉体的負担
訪問看護は研修期間を終えると基本的には一人で利用者様の訪問対応をします。利用者様の在宅生活を支えるために関係機関と連携を取ることも非常に重要になります。
そのため、一人で判断することや責任の重さを負担に感じて、辞めたいとつい思ってしまう看護師さんもいます。
責任感が強い一方で自分に対するハードルが高いため、看護が理想通りに進められないと「辞めたい」という気持ちも強くなってしまう看護師さんもいらっしゃいます。
責任感が強い看護師さんは一人で悩む傾向があるため、精神科訪問看護は担当者だけで看護するのではなく、チーム全体で利用者さんを支えるという体制づくりも必要です。
転職活動の際には訪問看護ステーションに訪問の体制や看護方針について確認すると良いでしょう。
自分が担当する利用者さんだからといって、一人で抱え込まずに積極的に同僚や先輩、管理者さんに相談しましょう。多くの訪問看護ステーションはベストプラクティスを持っているため、訪問看護のヒントをもらえると思います。
利用者さんの症状による危険行動
精神症状の悪化によって、傷付きやすかったり、すぐ怒ったりするような利用者さんの対応をすることがあります。利用者さんの体調によっては自己抑制が難しく、感情的になってしまうこともあるのが精神疾患の特徴です。そして、さらに悪化した場合には、自傷他害のリスクを伴います。
訪問時に暴力的な側面を目の当たりにしてしまうと、ショックを受ける看護師さんも少なくありません。まして初めて精神科に従事する看護師であればなおさらでしょう。自身で対応できるようになるまで時間はかかります。先輩、同僚、ご家族といった周囲のサポートも必要になるでしょう。
日頃から病状を理解するとともに、暴力やハラスメントに対する対応についても社内で共有しておく必要があります。ウィリングでも利用者さん一人ひとりの状況を担当看護師だけでなく、管理者含め複数の看護師さんがサポートできるよう共有しております。
看護師の話し方ひとつで変わる
看護師さんの言動や行動は利用者さんやご家族からすごく注目されています。
特に精神疾患を抱える利用者さんの場合、病状によっては看護師さんの何気ない一言を被害的に捉えられてしまい、クレームにつながることもあります。話し方や話す内容ひとつで利用者さんの病状が変わってしまうこともある難しい仕事ですが、その分看護師の対応一つで快方へ向かうこともある大変やりがいのある仕事です。その度に振り返りを行いプロセスレコードを用いて分析し関係性改善へ繋げることが大切です。
看護師としてのキャリアアップができるか
本当に精神科訪問看護への転職が自身が望むキャリアを歩めるか確認しましょう。
精神科看護師はレベルが低いと言われるのは本当?
精神科看護師へ転職を検討し、リサーチしていくとよく耳にしたり目にすることが「精神科の看護師は技術が低い」「精神科はレベルが低い」という声です。この1番の理由は「身体管理ができない」ということでしょう。
しかし、ここ数年で状況が大きく変わってきました。超高齢化社会となり、精神科といえども、様々な身体疾患を抱えた患者さんが増えてきました。
精神科に長期入院されている方も、高齢化してきており身体機能の低下が目立ってきました。
地域で暮らせていた患者さんが、体を悪くして入院するというケースも多くなってきました。
その結果、精神科看護師にも、身体管理をする力が求められる時代が来ています。
訪問看護も同様で上記のような技術やスキルが求められてきている傾向があります。
キャリアへの不安を感じる人もいる
精神科訪問看護師のキャリアに不安を感じ退職を考える方もいます。
精神科訪問看護では、精神的な看護が中心で医療処置が少ないのが理由のひとつです。
そのため、「採血などの医療処置スキルが衰えるのでは…」「他の施設や病院に転職したいと思った時に仕事ができるか不安」といったように自身のキャリアに不安を感じ転職を考える方もいます。
しかし、今では在宅医療のニーズの高まりや精神科患者の増加から、今後も精神科訪問看護の需要は高くなる見込みです。ニーズが高まる業界で積んだ経験は、看護師としての市場価値が高まりキャリアアップに大きく役立つと言えるでしょう。ウィリングでもキャリアに対する不安を払拭できるよう、体制を整備している段階です。
精神科訪問看護師のデメリットは?
比較的医療行為が少ない
精神科訪問看護のデメリットとしては、医療技術面を学ぶ機会が少ないことがあげられます。他の科に比べると医療行為が少ないので、医療技術の実践や最新医療技術のアップデートの機会が少なく、スキルアップができないと悩む看護師さんもいます。また、精神科に長く勤めるほど、他の科で働くのを難しいと感じ、「転職したいけれどできない」と悩むケースもあります。
大きなデメリットはない
上項のようなケースもありますが、精神科看護師になったからといって、特別な大きなデメリットはありません。「人工心肺の管理やドレーンの管理ができない」というように不得意なジャンルがあることは事実ですが、得意不得意があるのはどこの領域も同じです。
今までに経験してきた看護や担当してきた利用者さんによって看護師としてのスキルは大きく変わってきます。
ですので、「精神科看護師になること」自体がデメリットになることはありません。精神科で得られる経験を大切に、知識や経験を修得していけば大丈夫です。
精神科の需要は拡大している
現代の「高齢化社会」「ストレス社会」「情報社会」と言われる時代で、精神科看護師のスキルは必須ともいえ、非常に需要が高い領域です。
例えば精神科では、認知症のBPSDと呼ばれる周辺症状への対応や、ユマニチュードを取り入れた関わり方を積極的に行います。6ヶ月ほど働けば、認知症を患っている利用者さんへの対応もできるようになります。
精神科看護師になって、チームで関わりながら、その対象の理解を深めてより良いアプローチの方法を考えていくことが必要です。
これからの高齢化社会やストレス社会で悩んだり、疲弊する人たちの力になるために働くことは、現代社会にとって重要な役割で大きな価値となります。
さいごに
精神科訪問看護へのキャリアチェンジにあたり、留意点や注意点、事前に知っていただきたいことについてご紹介してまいりましたが、より精神科訪問看護の仕事を知っていただき、「挑戦してみたい」と思っていただけたら嬉しいです。
ウィリングではキャリアチェンジを検討している、もっと訪問看護をしりたいといった方に向けたLINEの窓口をご用意しています。直近では転職を検討していない方でもご興味があればご登録いただけるとありがたいです。本記事だけでは伝えきれない魅力ややりがい、社内のことなど、多岐に渡って疑問や質問に対応してまいります。
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