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コラム
精神科訪問看護師に向いている人の特徴は!?転職に必要なスキルや経験を紹介

・精神科で働いたことがないのに精神科訪問看護で働けるのだろうか?・精神科の看護師に向いている人はどんな人?・精神科訪問看護に必要なスキルって何?

精神科訪問看護についてこのような疑問を持っていらっしゃる方はいませんか?

精神科に入院している人の退院は難しいといった時代はもう終わりました。

誰でも住み慣れた環境で療養生活を続けていくことが、自分らしく生きることの一つであることには間違いありません。

看護師は、そういった方々の社会復帰への手助けをすることができるのです。

そのためには、まずは精神科訪問看護についての知識を身につけることから始めましょう。

今回は、精神科訪問看護について、精神科看護師に向いている人、精神科訪問看護の現状や必要なスキルについて解説しています。

精神科で勤務していて訪問看護への転職を考えている人、精神科での経験は無くても精神科訪問に興味のある人など、是非ともこの記事を参考にしてみてください。

精神科看護とは

看護師の仕事で、精神科と一般的な診療科では違いがあるのでしょうか。

この項目で解説します。

精神疾患のある患者さんへの看護

精神科看護では、精神疾患のある患者さんへの看護がメインです。

精神疾患には、統合失調症や双極性障害、うつや認知症などさまざまあります。また、入院している患者さんの年齢もさまざまです。

精神疾患のある患者さんへの看護では、身体面のケアよりも精神面のケアが中心で、コミュニケーション力が大切になっていきます。

注射や点滴などの医療業務もありますが、精神科看護では精神的な健康問題のある患者さんに対して「その人らしく」生活するための援助を実施しています。

精神科病棟

精神科病棟では、精神疾患のある患者さんに対して24時間看護を実施しています。

精神科病棟が一般的な病棟とは全く違う点がいくつかあります。それは、閉鎖病棟と開放病棟を設けていることです。

閉鎖病棟とは、精神疾患の症状が重く、自傷他害などの危険行動の可能性がある患者さんが入院しています。病棟の出入り口は厳しく管理されて鍵がかかっており、病状の安定化を目的にケアを行っています。

開放病棟とは、精神疾患の症状が比較的安定している患者さんが入院します。入院患者さんの意欲や自立を促し、症状の改善や社会復帰を支援するためのケアを行っています。

入院する際に、本人の同意を得て入院する「任意入院」と、病状によっては治療が必要なのに本人の同意が得られず本人以外の同意で入院となる「医療保護入院」があります。

また、警察などから通報があり保護され、自傷他害の恐れがある人を精神保健指定医2名が診察し、2名とも入院が必要だと判断した場合、都道府県知事の命令によって入院となるのが「措置入院」です。

さらに、応急入院指定病院において、指定医が診察した結果、精神に障がいがありすぐに入院治療をおこなう必要があると判断された場合、本人や家族等などの同意が得られない状態でも72時間以内に限り入院ができる方法で「応急入院」があります。

行われる看護としては、患者さんの安全を守ることが一番はじめにあり、危険物を病棟に持ち込むことはできません。また、日常生活の援助だけではなく、精神的なケアが中心でコミュニケーションにも時間を割いていく必要があります。

そして、治療のための内服薬管理、注射管理だけではなく、作業療法などの治療も行っていきます。

精神科訪問看護

精神科訪問看護では、精神疾患のある方に対して医師が訪問看護が必要と判断して指示があった場合に看護師が自宅等へ訪問し、ケアを実施しています。

訪問先は、自宅であったり施設であったり、利用者が生活している場所です。

精神科病棟で治療を受け、退院後も継続的な治療が必要な場合も訪問看護を利用し、就労支援やリハビリを実施します。

また、社会復帰のためにも他者との関わりは重要であり、訪問看護師が訪問することで人との関わりも増えていきます。

精神科訪問看護でできること

精神科訪問看護でできることはどのようなことがあるのでしょうか。

それは、精神科病棟との違いがあるのか、どちらも同じなのか、この項目で見ていきましょう。

医師の診療の補助

看護を実践するためには、医師の指示が必要です。また、看護師は医師の診療の補助を行います。これは、精神科訪問看護でも同様です。

精神科訪問看護師だけで訪問する場合とは違いますが、在宅医や病院の主治医が利用者宅へ訪問し、診療を実施する際に看護師はその補助を行います。

病院と自宅との違いはありますが、医師の診療の補助を行う役割は同じです。

薬剤の管理、実施

精神疾患がある利用者が住み慣れた環境で治療を継続していくためには、薬剤の管理と適切な服用が重要となります。

病状によっては薬剤の管理ができず、服用を自己中断したり、受診すらしなかったりと状況が悪化してしまう可能性もあります。

それを防ぐためにも、精神科訪問看護師が自宅へ訪問して薬剤の管理状況を確認します。

日常生活の援助

利用者の精神的な状況によっては、いつも通りの日常生活を送れていない人もいらっしゃいます。また、障害の度合いによっては、誰かの手助けを必要とする場合があります。

その場合は、訪問看護師が日常生活の援助を実施します。

その内容としては、入浴や食事、更衣など全般にわたります。

できるだけ利用者が自分自身で実施できるように支援していきますが、本人が無理のないような援助方法を検討して実施していく必要があります。

精神的な面で介助が困難な場合は、本人の状態に合わせて無理のない範囲から元の日常生活が送れるように支援してきます。

セルフケアの援助

日常生活の援助と同様に、利用者が自分の持っている能力を発揮できるためにも訪問看護師はセルフケア能力の維持や向上を目的とした援助を実施します。

手助けが必要な状況だからといって、全てのことを訪問看護師が行っていては自立が遅れてしまいます。

そのため、利用者自身がどうしていきたいのか気持ちを確認したり、できることを見極めて必要な部分を手助けするような関わり方が重要です。

治療や生活についての思いの理解

精神科訪問看護師は、利用者自身が治療や生活についてどのような思いを持っているかの理解をすることが大切です。

利用者自身で疾患や治療を受け入れられていない状況であれば、内服薬を飲んだり受診をするといった治療行動を中断してしまう危険性があり、そのままでは症状が悪化してしまいます。

また、自宅での生活において不便に感じていることや、悩みなどを家族や訪問看護師に伝えられているか確認しておきます。

家族支援

精神的な疾患で治療を受けている本人だけではなく、その家族への支援も精神科訪問看護師の大切な仕事です。

症状が落ち着いているときは良いのですが、悪化していく兆候が見られていたり、家族だけでは支えられない状況になってしまわないように、早期に対応をしていきます。

必要があれば、利用者が一時的に入院できるよう、レスパイトを検討することがあります。

家族が抱えている不安や疑問はないか、利用者を含めてコミュニケーションを測っていくことが大切です。

社会復帰支援、就労支援

精神疾患を持つ利用者の年齢はさまざまであり、社会復帰をしたい、仕事をしたいといった希望がある人もたくさんいらっしゃいます。

また、そういった社会とのつながりが生きていく上で大切なことであり、仕事をすることで役割を見つけていけるのです。

精神科領域においては、このような社会復帰支援や、就労支援も大切な仕事の一つです。

就労支援については、症状や状況によってはA型作業所やB型作業所といった勤務先があり、それぞれの仕事内容や環境などを見学し、自分に合った仕事ができるように支援していきます。

また、仕事をしたいが身体面や精神面でリハビリが必要な場合は、精神科訪問看護師やリハビリにおいて支援を行い、就労ができるように関わっていきます。

安全管理

治療や療養を継続させていくために最も大切と言えるのが安全管理です。

精神的な症状によっては、自傷他害や自殺企図など危険がおよんでしまう可能性は少なくありません。

そのため、刃物やヒモ類などの危険物が周囲に置いていないか、自宅での生活でこれらを無くして生活するのは困難なため、症状悪化の兆候はないかを注意して観察します。

何かしら危険性を感じたら、すぐに主治医や担当のソーシャルワーカーへ報告して対応していきます。

精神科看護師に向いている人

それでは、一般的な看護師だけではなく精神科看護に向いている人はどのような人のことを言うのでしょうか。

この項目で解説します。

人の興味がありコミュニケーション能力がある

精神科領域においては、人とのコミュニケーション能力が重要視されます。

それは、内服薬や注射だけではなく、人との関わりの中で自分自身の役割や人とのコミュニケーションの取り方を学び、社会生活を送ることが大切だからです。

その支援をする看護師は、人に興味がありコミュニケーション能力があれば精神科看護師に向いていると言えるでしょう。

相手がどのような悩みを持っているか、言葉にできない思いはどのようなことがあるのか、病気を患ってしまった原因はどのようなことがあるのかを理解し、その相手に必要なケアを実践していきます。

精神科領域の専門知識を身につけたい

精神科領域の専門知識は、一般の診療科とは違い内容が深いと感じる方もいらっしゃるでしょう。

脳神経内科領域の部分もあれば、それぞれの疾患や症状に合わせた関わり方で治療が好転したり、悪化の危険性があったりと難しく感じてしまう場合もあります。

しかし、精神科領域だけではなくどの領域においても精神面のケアは重要であり、この学びからたくさんのことを得られ、看護実践につなげていけるのです。

作業療法を含めた知識を深めたい

精神疾患を持つ方への治療は、作業療法も大切な治療です。

精神科作業療法とは、日常生活を送るための基本的な機能や生活リズムを整えたり、対人関係スキルの獲得のためにグループ活動などを通して、他者との関わり方を学びます。

また、社会参加の促進を目的とした退院後の地域生活や就労に向けた準備をサポートしたり、健康的な自己認識・自信の回復のために、さまざま作業を通して成功体験を積んで自信をつけられるようにしていきます。

その作業では、音楽療法や手芸・工作・絵画、グループワーク、ストレッチやマインドフルネスなどのリラックスプログラムがあります。

このような作業療法の知識を深めたいと考える人にとっても精神科看護師は向いていると言えます。

じっくりと患者さんと関わりたい

コミュニケーション能力と同じく、じっくりと患者さんと関わりたいと考える人にとっても精神科看護師は向いています。

一般的な急性期病棟とは違い、コミュニケーションが治療において重要な要素となる精神科においては、看護師の関わりも大切となっていきます。

自分自身のメンタル面を調整できる

精神科看護師として働いていくためには、患者さんに感化されすぎないように自分自身のメンタル面を調整できないといけません。

患者さんが落ち込んでいるからといって自分自身も一緒に落ち込んでしまったり、興奮状態で攻撃的な患者さんに対して同じように興奮してしまったりなど、その場の状況によって対応が必要であり看護師が同じ状態になっては、看護師も患者さんもどちらも危険です。

どのようなことがあっても、ある程度は自分自身で調整できると良いでしょう。

観察力、理解力がある

人に興味があることと同様に、相手に対しての観察力と理解力を持っていることも精神科看護師に向いていることと言えます。

相手の表情や言動、行動によって症状の悪化や改善が見られたり、相手の思いに共感するだけではなく、それまでに至ったことについて理解を示すことができるとより良いケアにつなげられます。

これは、患者さんや利用者だけではなく、家族や同僚にも同じような視点で関われるともっと良いですよね。

精神科以外も興味を持って学ぶ姿勢

精神科看護師が行う看護は、精神面のケアだけではありません。

精神疾患だけではなく、糖尿病や高血圧などの基礎疾患を患っている場合や、それ以外の疾患を持つ人も少なくありません。

精神科以外の分野も興味を持って学ぶ姿勢が大切です。

行動力がある

精神科看護において、時間がゆっくりすぎていると感じる人もいるでしょう。

しかし、何かあった時にはすぐに行動する、行動力がある人も精神科看護師に向いていると言えます。

何も起きていないから大丈夫なのではなく、自分から動いて確認していくことでの気づきもあります。

精神科看護での現状

精神科と聞くと、「怖い」や「暗い」「特別な人」といった印象を持つ方も未だいらっしゃるかもしれません。

決して特別な人ではなく、誰でも心の病気になる現状があります。

精神科病棟の現状

現在、日本における精神疾患の総患者数は、2020(令和2)年時点で614.8万人、外来患者数586.1万人(2023年厚生労働省「厚生労働白書」)となっています。

 外来患者数は総患者数の95.3%を占め、年々増加しており、今後も外来でのケアの需要は高まることが予測されています。

また、厚生労働省の発表によると、精神疾患を有する入院患者数は約26.6万人と言われています。

精神科訪問看護の現状

精神科訪問看護は、精神疾患を持つ人の在宅療養増加に伴ってニーズが高まっており、事業所数も倍増しています。

精神科患者数も増加傾向にあり、退院後の自宅療養ニーズが増えているため、精神科訪問看護の需要も高まっています

今後も高齢化が進み、在宅医療の需要が増加しているため、精神科訪問看護の重要性はますます高まることが期待されています。

精神科訪問看護で必要なスキル

精神科看護師に向いていると思っていても、精神科訪問看護において具体的にはどのようなスキルが必要なのでしょうか。

基礎看護技術

精神科訪問看護では、一般的な基礎看護技術が行えることが重要です。

基礎的な技術があるからこそ、利用者に合わせた対応もできるのです。

コミュニケーション能力

先述した通り、精神科訪問看護においてもコミュニケーション能力も重要です。

一般的なコミュニケーションだけではなく、それぞれの疾患や症状、状況に合わせた関わり方を行う必要があります。

アセスメント能力

一般的なアセスメントだけではなく、さまざまなアセスメントが必要となります。

訪問看護においては、身体面だけではなく生活状況なども含めて症状の悪化が感じられる場面もあります。

自宅だからこそわかる状況でもありますね。

日常生活の援助

入浴や食事、排泄などの日常生活の援助も大切な看護です。

利用者に合わせた援助方法、利用者の自宅に合わせた移動手段など、臨機応変に対応できるとより良い看護ができます。

多職種との連携

精神科訪問看護では、看護師同士だけではなく主治医やソーシャルワーカー、介護士などさまざまな職種との関わりがあります。

自分達だけでの業務で終わるのではなく、多職種と連携することで利用者が安心して自宅で療養生活を継続できます。

家族との関わりができる

訪問先で利用者との関わりだけではなく、家族との関わりをもてるコミュニケーション能力も大切です。

家族の介護負担が増えていないか、不安や疑問によって関係性が悪化していないか観察し、対応していきます。

自己研鑽ができる

日々、忙しく働くだけではなくさまざまな学びも精神科訪問看護には必要です。

自己研鑽ができることも大切なことですね。

時間管理能力

訪問看護は時間が限られています。

その限られた時間内でケアを実践していくため、時間管理能力も必要です。

精神科の資格

精神科の専門的な資格にはどのようなものがあるのでしょうか。

精神科認定看護師

精神科認定看護師は、一般社団法人日本精神科看護協会が認定する専門看護師資格です。

精神科看護の専門知識と優れた実践能力を持ち、質の高い精神科看護を提供することで、看護現場におけるケアの質の向上に貢献することを目指します。

資格を取得するためには、定められた実務経験があり、精神科認定看護師教育課程の修了と認定審査への合格が必要です。

精神科認定看護師の主な役割は以下の通りです

  • 質の高い精神科看護の提供
  • 精神科看護に関する相談への対応
  • 精神科看護に関する指導
  • 看護現場におけるケアの質向上と発展への貢献
  • 患者、家族、多職種連携を視野に入れた包括的なアセスメントとケアの実践

精神科専門看護師

精神看護専門看護師とは、複雑な健康問題を抱える人々に対し、専門性の高い精神看護を実践する看護師で、実践、相談、調整、教育、研究など多岐にわたる役割を担います。

日本看護協会が認定する資格であり、修士課程修了後に5年以上の看護師経験(専門分野3年以上)を満たし、専門看護師認定審査に合格することで取得できます。

活動の範囲は精神科病院だけでなく、一般病院でのリエゾンナースとして活動したり、大学病院や地域での活動など多岐にわたります。

精神科訪問看護は、自宅で療養して社会復帰を目指す人への一番の理解者です

いかがでしたか?精神科訪問看護についてご理解いただけたと思います。

精神疾患を患う人は特別ではなく、誰でも起こりうることを忘れてはいけません。

住み慣れた地域で、一人ひとりが自分らしく暮らせるための支援ができるのは訪問看護師です。

心と体と両方の支援ができるのが精神訪問看護師なのです。