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コラム
パーソナリティ障害の家族に疲れたら!?対応方法や相談窓口を紹介

・パーソナリティ障害がある人にはどう接したらいいの?

・パーソナリティ障害は親が原因なの?

・パーソナリティ障害のある家族の世話に疲れてしまった

パーソナリティ障害に対する治療を受ける人の家族で、このようなことを感じたという方もいらっしゃるかもしれません。

パーソナリティ障害は精神疾患であり、長期的な治療の継続が重要です。

治療を継続する中で、それを支える家族の身体的・精神的負担も大きくなっていきます。

家族だから、周囲に迷惑をかけられないからと相談せず自分達で解決しようとしていませんか?

そのままでは疲弊してしまい、家族も共倒れしてしまう可能性があります。

治療を継続させるために、サポートしてくれたり相談を受け付ける窓口があるので安心してくださいね。

今回は、パーソナリティ障害の症状やその人への接し方・対処方法、家族の対応や相談窓口について解説しています。

パーソナリティ障害で治療を受けている方やその家族、周囲のサポートしている人など、是非ともこの記事を参考にしてみてください。

パーソナリティ障害とは

「パーソナリティ障害」とは、どのような病気なのでしょうか。

パーソナリティとは、その人独特の一貫した考え方や行動様式のことをいい、「人格」「性格」「個性」などと表現されます。

パーソナリティを構成する要素には二つあります。

生まれ持った気質や素質などのその人らしさの基盤となる部分である先天的な要素と、成長の段階で家族や周囲との関係性、知識や経験によって構成される後天的要素です。

次は、パーソナリティ障害についてです。

パーソナリティ障害とは、周りの人とは違う反応や行動をとることで本人が苦しんだり、家族や周囲が困ってしまう場合に診断される精神疾患のことをいいます。

人格障害と同じ意味があり、パーソナリティの問題によって生きづらさや生活しづらさといった問題を生じます。

パーソナリティ障害の原因

パーソナリティ障害の原因ははっきりしていません。

しかし、遺伝的要因や幼少期の環境要因、そしてそれらの相互作用によって影響を受けるとも考えられています。

また、脳機能の個人差といった要因や、遺伝的要因、人間関係の困難さ、社会的なストレスなども発症に関与する可能性もあります。

パーソナリティ障害の特徴

パーソナリティ障害の特徴には、物事の捉え方をする認知や感情、対人関係、衝動性において柔軟性に欠けた偏りがあり、それが長期間にわたり持続することで、本人や周囲が苦痛を感じたり、社会生活に支障がでてしまいます。

具体的な特徴はタイプによって異なりますが、自己認識の歪みや人間関係の不安定さ、感情の激しい変化や衝動的な行動などが共通して見られます

パーソナリティ障害には、主に以下の特徴があります。

  • 思考や感情の偏りがある
  • 対人関係が困難
  • 衝動性がある
  • 社会生活に支障が出る
  • うつ病を併発する
  • 社会不適合症を併発する
  • 依存症を併発する
  • そのほかの精神疾患を併発する

パーソナリティ障害と併発する精神疾患

パーソナリティ障害と併発する精神疾患には、うつ病や依存症があります。

うつ病とは、持続的な抑うつ気分や喜びを感じにくい状態が続く精神疾患のことです。

対人関係が困難になってしまうことで、自分は見捨てられたのではないかといった不安を感じ、うつ病を併発してしまう場合があります。

また、さまざまな悩みにより不眠症となってしまい、うつ病を併発してしまいます。

パーソナリティ障害では、依存症を併発する場合があります。

これは、依存症パーソナリティ障害と呼び、自己決定が困難で他者に過度に依存する状態です。他人の承認なしでは自分自身での決断ができず、一人でいることに強い不安を抱いてしまいます。

それらは、日常生活や対人関係に支障をきたして配偶者や親、パートナーなど特定の人物に過度に頼ってしまう傾向にあります。

他には、社会不安障害やパニック障害、強迫性障害などが挙げられます。また、感情のコントロールが苦手なことから、過食や拒食といった摂食障害が合併してしまう場合もあります。

パーソナリティ障害に対する精神療法

パーソナリティ障害の治療に大切なのは、まずは精神療法です。

精神療法とは、治療者との対話を通じて思考パターンや感情の制御、対人関係の築き方を改善し、より適応的な生き方を目指す治療法です。

精神療法には以下のものがあります。

認知行動療法(CBT)

支持的精神療法

精神分析的精神療法

転移焦点化心理療法(TFP)

集団療法

パーソナリティ障害に対する薬物療法

薬物療法には、うつ症状や不眠に対して、抗うつ薬(SSRIなど)、抗不安薬、抗精神病薬、気分安定薬などが使用されます。

薬物療法はあくまで対症療法であるため、パーソナリティ障害の根本的な治療には精神療法と併行して行われることが多いです。



治療を継続させるためには、本人の治療をしたいという強い気持ちと長期的な視点、専門家の連携、訪問看護などのサポートも重要なものになります。

パーソナリティ障害の症状

パーソナリティ障害の症状にはどの様なことがあるのでしょうか。

この項目で解説します。

思考の偏り

パーソナリティ障害の1番の特徴といえる症状では、思考の偏りがあります。

思考の柔軟性が難しく、独特で独自の考え方を持ちます。

例えば、物事に対して「白か黒か」「完璧でないと価値がない」といった両極端な考えだったり、常に最悪なことを考えてしまったりして、毎回同じ失敗をしてしまいます。

そうなることで対人関係がうまくいかなかったり、衝動的な行動に至ってしまうのです。

感情の不安定さ

次に、感情の不安定さがあります。

さっきまで穏やかだったのに、急に怒りを表したり泣き出したりと気分が目まぐるしく変化します。

感情のコントロールが難しいため本人の苦痛もありますが、周囲の人ともトラブルを抱えてしまう場合があります。

対人関係の不安定さ

思考の偏りと感情の不安定さ、衝動的な行動などにより対人関係が不安定になってしまいます。

周囲の人が理解を示そうとしても、急な言動や行動の変化についていけず対人関係を築いていきにくくなります。

衝動的な行動

感情の不安定さにより、衝動的な行動に移ってしまう症状があります。

衝動的な行動には、浪費や薬物の乱用、自傷行為、無謀な運転などがあります。

これらは感情の波に影響されやすく、状況によっては他人を傷つけてしまう危険性があります。

他者への配慮が欠如することで衝動的な行動になってしまい、周囲を巻き込んでしまうのです。

見捨てられ不安

パーソナリティ障害では、現実的だったり想像的にも見捨てられるのではないかといった強い不安を感じてしまいます。

例えば、一人になってしまうのではないかといったことだったり、見捨てられるのではないかといった不安から相手にすがってしまったり相手を引き止めようとしたりします。

また、相手から見捨てられるのではないかという不安から強い怒りを覚えたり、自分は価値がないのではないかといった空虚感を感じてしまったりします。

自己像の不安定性

自己像の不安定性とは、自分自身をどのように捉えるかについて自分の状況や一緒にいる人によって大きく変動し、自分に対する評価や価値観、目標が頻繁に変化したりする状態をさします。

慢性的な空虚感

パーソナリティ障害における慢性的な空虚感とは、見捨てられ不安からくる「自分は価値がないのではないか」といった感情から、慢性的に感じてしまう状況です。

このことで、他者との関係性が不安定になりやすくなってしまいます。

ストレス時の反応

パーソナリティ障害の人は、強いストレスを感じてしまうと感情の不安定さや感情のコントロールが困難になったり、衝動的行動に移ったりします。

また、妄想が出現したり、現実感が喪失してしまったりといった精神症状、集中することが困難だったり、思考力の低下などの認知機能の低下、不眠や食欲の変化などの身体症状が現れることもあります。

パーソナリティ障害への接し方・対処方法

パーソナリティ障害を持つ人に対して、周囲の接し方や対処方法が治療において重要な要素ともいえます。

具体的にはどの様にしたら良いのでしょうか。

詳しく解説します。

苦しみを理解する

まずは、パーソナリティ障害の症状に対して本人が感じている苦しみを理解することから始めましょう。

パーソナリティ障害の症状が自分自身を苦しめているため、自分自身を否定したり理解できなかったりといった苦しみを感じているのです。

そのため、周囲の人はその思いを理解し、寄り添う姿勢を示すことが大切です。

冷静な対応で話を聞く

パーソナリティ障害を持つ人が衝動的な行動をとってしまったり、感情の起伏が激しかったりしても、周囲の人は冷静な対応で話を聞く姿勢が大切です。

それはとても難しく感じることでもありますね。

しかし、一緒に感情的になってしまうと本人と衝突してしまい、症状が悪化してしまう可能性があります。

相手の考えや行動、心の問題を否定せず、冷静に耳を傾けましょう。

一貫した対応をする

パーソナリティ障害を持つ人の症状に対して感情のまま接するのではなく、一貫した対応をしていきましょう。

毎回毎回違う反応や言動をしてしまうと、本人も戸惑ってしまいます。

境界線を引く

パーソナリティ障害の症状では自傷他害といった周囲に危険が及ぶ可能性もあります。

そのため、予防するためにも境界線を引く必要があります。

過度な要求に対しては毅然とした態度で丁重に断ることが大切であり、「できないことはできない」という基準を明確に本人へ伝えましょう。

過度に踏み込んでしまうと逆に不信感がつのり、攻撃されてしまう場合もあります。

共感しつつも責任の範囲を明確にする

パーソナリティ障害の症状による苦痛に対し、思いを共感しつつも自分自身の責任の範囲を明確にすることも大切です。

行動や言動に対して責任が必要であることを本人へ冷静に伝えていく必要があります。

責めたり説教したりしない

パーソナリティ障害の症状に対して責めたり説教したりしてはいけません。

本人も症状によって苦痛を感じています。だからこそ、責めたり説教されたりすると症状が悪化したり、不信感を抱いて関係性が悪化してしまいます。

信頼関係を築くためにも、わかりやすく理解しやすい言葉で伝えていく必要があります。

パーソナリティ障害に疲れた家族はどうすれば良いか

パーソナリティ障害を持つ人に対して、それを支援する家族であっても疲弊してしまいます。

その場合はどうしたら良いのでしょうか。

休息・リフレッシュする

パーソナリティ障害を持つ人の家族は毎日関わっていくことで疲労を感じてしまいます。

そうなると本人と共に共倒れしてしまう危険性があります。

まずは、家族自身も休息やリフレッシュする時間を作っていく必要があります。

専門家や支援機関に相談する

家族のことだからと相談するのを躊躇している場合もあります。

しかし、専門家や支援機関に相談することが1番の対処方法と言えます。

専門知識をもとに具体的な対処方法や支援内容を示してもらうことで、家族の負担も軽減されます。

パーソナリティ障害に対する窓口

パーソナリティ障害を持つ人や家族が相談できる支援機関や窓口はどの様なところがあるのでしょうか。

この項目で解説します。

精神科病院

まずは、専門知識がある精神科病院で相談するのも良いでしょう。

精神科病院のほとんどは完全予約制のため、電話で受診したいことと症状などについて伝えて予約を取ります。

医師の診察や薬物の処方などが治療においては重要な要素となるため、自分に合った病院に相談するようにしましょう。

メンタルクリニック、心療内科

精神科病院と同じく受診するのは、メンタルクリニックや心療内科もおすすめです。

メンタルクリニックや心療内科の数は増えており、パーソナリティ障害だけではなくさまざまな精神症状に悩む人が比較的気軽に受診できるようになりました。

受診するためには予約が必要な場合が多いので、事前にホームページを検索するか電話での確認をしましょう。

精神保健福祉センター

精神保健福祉センターでは、地域住民の精神的健康の保持増進や精神障害の予防、適切な精神医療の推進から社会復帰の促進、自立と社会経済活動への参加の促進のための援助などの業務を担っています。

パーソナリティ障害に悩む人にとって相談しやすい窓口といえますね。

保健所・保健センター

各市町村の保健所や保健センターでも相談を受け付けています。

こころの健康相談統一ダイヤル

直接病院に行ったり、人に会ったり対面での相談が難しいと感じる人にとっては、「心の健康相談統一ダイヤル」があります。

都道府県・政令指定都市が実施している公的な電話相談事業であり、全国共通の電話番号を設定しています。

そのため、全国どこからでも同じ電話番号で相談を受けてもらうことができます。

よりそいホットライン

よりそいホットラインとは、心の健康相談統一ダイヤルのように精神的な辛さを感じた人が相談できる電話相談窓口です。

制度に関する情報提供や面接相談、さまざまな機関への同行支援など具体的な問題解決に向けた支援までを行っています。

精神科領域専門の訪問看護ステーション

パーソナリティ障害に悩む人や家族の相談窓口としては、精神科領域専門の訪問看護ステーションもあります。

精神科領域の専門知識や経験があるからこそ理解してもらえますし、その後にサービスを利用する際にも信頼関係を築ける看護師が対応してもらえるといったメリットがあります。

また、どのような支援を受けられるかなど、親身に相談を受け付けてくれるので安心できますね。

パーソナリティ障害を持つ人も家族も安心して治療を継続できるようにしていきましょう

いかがでしたか?パーソナリティ障害を持つ人自身が治療を継続し、それを支える家族の心身も健康に保つことが重要であるとご理解いただけたと思います。

世間体や家族のことだから自分達だけで解決すべきだと思わなくても大丈夫です。

同じ悩みを持つ人もいらっしゃいます。

精神疾患に対する専門の相談窓口をうまく利用し、長期的にも治療が継続できるようにしていきましょう。