・うつ病が落ち着いたら薬は止めていいの?
・うつ病で通院ができなくなったらかぞくはどうしたらいいの?
・本人が薬を中断したら誰に頼れば良いかわからない
うつ病の治療には、休養だけではなく薬物療法が重要です。また、病院やクリニックを受診して診察やカウンセリングをうけることも治療には不可欠です。
治療を開始していくと、症状が落ち着き「治ったのではないか」や「薬の効果を感じられない」といった状況で薬を中断してしまう方もいらっしゃいます。
薬を自己中断してしまうと、うつ病の症状が悪化し重度うつ病となる可能性があります。また、さまざまな理由で通院ができずに自己中断してしまうケースもあります。
うつ病の治療においては本人だけではなく家族のサポートも重要ですが、薬を自己中断した場合に家族はどうしたらよいのでしょうか。
病院やクリニックを受診することだけではなく、精神科訪問看護を利用することで治療の継続が可能になります。
この記事では、うつ病とはどんな症状があるのか、薬を自己中断してしまう場合はどういうことがあるのか、家族にできることは何なのかを解説しています。
うつ病で治療中のご本人やご家族の方、病院を受診しようか迷っている方などは参考にしてみてください。
目次
うつ病の治療で問題となること
うつ病の治療は、個人差はありますが怪我とは違ってすぐに治るものではありません。
時間をかけて治療を継続していくことが大切になります。
気分の落ち込みや、やる気が出ずに身体的にも精神的にも落ち込んでしまい、うつ病と診断を受け治療が開始となってからもさまざまな問題がおきることがあります。
やっと治療を開始したのに、また問題が起きるのか?と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、治療に時間がかかるからこそ、事前にその問題を理解して対処法を知っておくことが重要なのです。
この項目では、うつ病の治療中に問題になることを解説しています。
どこの病院に行ったら良いかわからない
まずは、うつ病と診断を受ける前に自分がどこの病院に行ったら良いかわからない方も多いです。
医師は男性なのか、女性なのか、しっかり話を聞いてくれるのか、何から話したら良いのかなど、さまざまな悩みをもってしまい、受診行動を躊躇してしまうことが考えられます。
また、精神科病院だったり、心療内科だったり、メンタルクリニックだったりとどこにいけばいいのかわからないといったこともあるでしょう。
うつ病の症状もあり、はじめは何の情報も無く受診すべきかどうかすらわからなくなってしまっていまいます。
通院する手段がない、難しい
もともと、自家用車を運転することができる方であれば自ら受診することは問題ないのですが、うつ病の症状によっては運転することすら億劫になり通院が難しくなってしまう場合があります。
また、受診する病院への距離があったり、公共交通機関を利用して通院するには乗り換えが多かったりして通院が難しくなったりもします。
普段から公共交通機関を利用していても、人混みが苦痛となったり外に出ることすらできなかったりと、うつ病で治療中には通院が大きな苦痛となっています。
診察料や薬代の負担が大きい
病気の治療を受けるためには、診察料や薬代を支払う必要があります。
うつ病の症状によっては、薬の量が多かったり、診察を受ける間隔が短かったりと料金の負担が大きく感じてしまう場合があります。
これまでの貯蓄に余裕がある方ばかりではないので、うつ病の症状で仕事ができなくなって給料が減ってしまい、病院の受診を躊躇してしまうことも考えられます。
また、まだ治療を開始したばかりであっても今後の治療継続のための経済的な不安もあり、通院を中断してしまう方もでてきてしまいます。
薬の効果を実感していない
うつ病治療での初期の段階では、目立った治療の効果を感じられない方もいらっしゃるかもしれません。
薬が自分に合っているかを医師と相談しながら調整していくことが大切になります。
自分にとって、今の治療や薬をいつまで続ける必要があるかと先の見通しが見えずに自己中断してしまうケースも少なくありません。
体調の変化を実感しなかったり、思うような効果を感じられなかったりすると、通院を中断してしまう可能性があります。
薬の副作用が辛い
うつ病の治療において、個人差はありますが薬の副作用が辛いと感じてしまう方もいらっしゃいます。
思っていた良くなる方の効果ではなく、副作用の方が早くでたり、強くでたりすることで治療の継続が困難と感じて通院することすら中断してしまう可能性があります。
また、インターネットで自分の治療内容を検索し、副作用がでたときの方が怖いと感じてしまい、治療に対する期待より不安が大きくなってしまいます。
薬を自己中断してしまう
うつ病の治療のための診察を受けて、治療の必要性は理解しているものの、薬を飲むことすら億劫に感じてしまうこともあるでしょう。
また、先述したように薬の副作用が辛かったり、治療に対する不安が大きくなって薬を自ら中断してしまう可能性もあります。
薬を自己中断してしまうと、これまで時間をかけて症状が軽快してきたのが急速に悪化したり、元の状態に戻るには余計に時間がかかることも考えられます。
そういう方には、薬を正しく飲んで治療を継続できるような支援が必要になっていきます。
治療したいけど身体が思うように動かない
うつ病の症状が辛くて治療をしたいと思っていても、うつ病の症状が強くて身体が思うように動かないと感じる方もいらっしゃいます。
そういった場合は、自家用車や公共交通機関を利用した通院をすることすら辛く、外出ができなくなってしまいます。
外出ができなくなるということは、病院を受診することもできない状態です。
受診ができなければ適切な治療を受けられず、診察や薬での治療が困難になってしまいます。
外出することすらしたくなくなる
身体が動かなかったり、気持ちの落ち込みがあったりすると外出することも苦痛です。
誰にも会いたくないし、治療も受けたくないという気持ちになってしまいます。
うつ病の治療のためには、少しでも外出ができる必要があります。
周囲の視線が怖い
うつ病の治療をしていると周囲に知られたくないという方は少なくありません。
世間体を気にしていたり、噂されているのではないかと不安になったりと、うつ病の症状によってはさまざまな悩みを持ってしまいます。
受診しているところを誰かにみられるのではないか、仕事を休んでいるのにどこに行っているのかと周囲の視線が怖いと感じてしまうと、通院を中断してしまう可能性があります。
病院で先生に叱られそう
病院の先生は優しいのか、本当に自分の話を親身に聞いてくれるのかと不安だと言う方もいらっしゃるでしょう。
女性の先生が良いのか?男性が良いのかと、病院の先生のタイプも気になるものです。
また、「なぜ早く受診しなかったのか?」や、「そんなことぐらいで。」など、先生に叱られるのではないかといった不安もあり、受診行動に移れない方もいます。
たとえば、自分が通院を中断したけど再度受診したいと思い切ってこれまでの病院を受診した場合、病院の先生から通院の中断を叱られるのかと不安で受診できない方もいらっしゃるかもしれません。
不安に思わず、受診することが大切です。
うつ病の治療で家族にできること
これまでは、うつ病の治療を受けている本人の心身の状態を解説してきました。
一番近くで見守る家族は、本人のつらさを理解しながらも家族として何ができるかと悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
また、家族は見守るだけで何もできないと思っている方もいらっしゃると思います。
家族にできることはありますので、この項目で詳しく解説しますので参考にしてみてください。
うつ病の症状を記録に残しておく
家族にできることの一つ目は、うつ病で治療中の本人の状況を記録に残しておくことが大切です。
以下のようなことを記録に残しましょう。
・いつ受診したか
・薬は飲めているか
・家族との関わりに変化はないか
・食事は摂れているか
・日常生活に変化はあるか
・家族以外の人との関わりに変化はあるか
・外出したりしているか
・興味に変化はあるか
・一人の時間は何をしているか
休養できる環境を整える
うつ病で治療を継続するときに大切なことは、刺激を与えないことです。
物音が大きくないか、車や電車などの騒音が刺激となって苦痛が強くなります。
また、部屋中にものが散乱していたり、寒暖によって苦痛を感じてしまうと心身に影響を与えてしまいます。
できるだけ、安心して療養ができるような環境を整えましょう。
本人の訴えに耳を傾ける
本人が悩みや苦痛を訴えたときには、話の途中で口を挟んだり、否定したりせずに耳を傾けるようにしましょう。
家族に思いを聞いてもらうだけでも気分が落ち着くと感じます。
聞いているのも辛い内容だったり、どうしようか迷う状況だったとしても、いったんは話を聞き、状況を記録に残して医師や専門家に相談することをおすすめします。
主治医へ代理で相談する
うつ病で治療中の本人が受診することすら困難な場合、家族が代理で主治医へ相談するのも良いでしょう。
これまでの記録やメモを持参し、どのような状況だったかだったり、家族の負担だったりを細かく伝えることで治療の手助けになります。
薬の治療が継続できるように本人へ説明する
治療を中断してしまった本人へ、治療を継続したいと直接伝えるのは困難な場合があります。
思いを傾聴して症状が落ち着いている場合には、治療の継続を本人へ説明するのも家族ができることです。
しかし、一番近くにいる家族だからこそ本人にとっては本心をさらけ出すことができるため、家族が感情的になっては逆効果です。
説明が難しいと感じたり、上手くできなさそうであれば、主治医や専門家の手を借りることをおすすめします。
感情的にならないようにそばで寄りそう
先述したとおり、一番近くにいる家族だからこそ思いを表出できます。
そのため、家族にとっても辛い言葉を投げかけられることも多いでしょう。
病気と知っていても、我慢できないこともあります。つい感情的になって言い返してしまう可能性もあります。
できるだけ感情的にならないようにして、そばで寄り添うようにしましょう。
保健所や精神保健福祉センターに相談する
本人を支えるのは家族だけでは負担が大きく、家族も一緒に倒れてしまう可能性があります。
そういうことになる前に、保健所や保健福祉センターに相談しましょう。
これまでの状況を伝えると、治療継続のためにどうすれば良いか、近くの医療機関を紹介してもらえます。
原因探しをしない
家族であれば、何でうつ病になるまで悩んだかを知りたいですよね。
ですが、本人へ原因探しのために聞いてしまうと自分を責めてしまって症状が悪化してしまう可能性があります。
原因を知りたいとして本人からの話を聞けたら良いですが、聞けない場合は医師や専門家に相談して対応してもらいましょう。
励まさない
うつ病で治療中の人を決して励ましてはいけません。
本人が一番頑張っているので、周りからの励ましは「これ以上、どうすればいいの?」といった不安になり症状が悪化してしまう可能性があります。
今できていることを認め、それ以上できるように励まさずに見守っていきましょう。
無理に特別なことはしない
元気を出してもらいたいので、いつもと違うことをしないようにしましょう。
たとえば、特別な料理を準備したり、無理に明るくしようとしたりすると本人が気づいて「自分のせいだ。」と悪い方へ考えてしまいます。
治療中は特別なことはせず、通常通りの生活を続けましょう。
大きな決断はさせない
うつ病の治療中に、大きな決断はさせないようにしましょう。
仕事を辞めるのか、離婚や転居などの大きな決断は本人にとって苦痛でしかありません。
しかし、状況によっては決断が必要な場合もあります。その際は、医師や専門家に相談しつつ、本人の無理のない範囲ですすめていきましょう。
うつ病を治療するための通院ができなくなったらどうするか
これまで、うつ病の治療継続が困難になるケースについて解説しました。
もし、通院ができなくなった場合にはどうしたらいいのでしょうか?
この項目では、通院を継続させるための手段について解説しています。
本人の受診に家族が付き添う
病院を受診するときに、一人では不安だと感じる方もいらっしゃいます。
これまでの心身の状況を家族が知っている場合には、受診に家族が付き添うのも良いでしょう。その際には、伝えやすいようにこれまで記録したものやメモも持参しておくと診察もスムーズです。
また、家族としてサポートできることや、家族だからこその悩みも話すことができる機会になります。
通院できない理由を明らかにする
通院を中断してしまうのには理由があります。
交通手段なのか、薬の効果を感じないのかなど理由がわかっていれば、受診の際に伝えるようにしましょう。
本人から、通院を中断した理由を聞くことができない場合は、受診に付き添うので安心するように声をかけるのも良いことです。
精神科領域の専門知識がある訪問看護に相談する
治療継続のためには、家族の支援が重要です。
しかし、家族だけでは負担が大きく、しょっちゅう主治医の先生へ相談することも難しいですよね。
そういった場合は、精神科領域の専門知識がある訪問看護に相談することをおすすめします。
精神科領域の専門知識がある訪問看護のスタッフは、精神科病院での勤務経験があったり、精神科領域の利用者宅への訪問看護を行っており、経験や知識も豊富です。
治療中の本人だけではなく、支えている家族の支援も受けられたり、いつでも相談できたりとメリットは大きいです。
精神科訪問看護師に受診の同行をお願いする
精神科領域の専門知識がある訪問看護師に受診の同行をお願いするのも良いでしょう。
これまでの症状や生活状況など、本人や家族からの情報を得て、病院の先生へ上手く伝えてくれます。
受診中も、先生からの話を一緒に聞いてもらうことで、治療を継続するためにどうしたら良いかと相談しながら訪問看護師のサポートを受けることができます。
治療を継続するためにも通院できるようサポートしていきましょう
いかがでしたか?近年、うつ病で治療中の方は増えており同じ悩みを持つ方もいらっしゃることをご理解いただけたと思います。
うつ病を治療するために通院することが困難となった場合に薬を自己中断したり、治療を諦めたりすることのないようにしたいですよね。
症状の悪化により通院できないのか、治療内容が問題なのか、手段が問題なのか、その人にあった通院手段を選択し、治療が継続できるように家族のサポートが必要です。
治療の継続をさせることや、日々の変化やさまざまな相談をするためにも精神科訪問看護を利用することをおすすめします。
精神科訪問看護では、精神科領域の専門知識や経験が豊富なスタッフが対応してくれるので安心してください。
自分に合った方法で治療ができるように専門家へ相談していきましょう。
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