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コラム
うつ病はどこに相談できる!?家族の精神疾患の悩みや不安の解消方法

・うつ病とかこころの悩みは誰に相談すれば良いの?

・うつ病ということを他人に知られたくない

・うつ病をもつ家族にどう対応したら良いかわからない

現代社会において、さまざまな理由でうつ病を患う方はすくなくありません。

うつ病というこころの病気になり、症状によって日常生活に影響が出るのではないか、悩みや不安を相談できないのではないかと困っている方もいらっしゃるでしょう。

うつ病になると誰とも話したくないし、関わりたくなくなりますよね。そうなることで自分の中でふさぎ込んでしまい、病状が悪化してしまうかもしれません。

こころの病気になっても相談できる窓口はあるので安心してください。

うつ病は特別な人がかかる病気ではなく、誰でもかかるかもしれない病気です。少しでも今抱えている悩みや不安を解消できるようにしましょう。

この記事では、うつ病を患う本人や家族が抱える悩みや負担を誰に、どこにそうだんできるかを具体的に解説しています。

うつ病で療養中の方やご家族の方、そのほかの心の病で困っている方は是非ともこの記事を参考にしてみてください。

うつ病とは

うつ病とは、気分の落ち込みや眠れなかったりといった精神的な症状と、身体的な症状が現れる病気のことです。

症状が悪化することで日常生活に支障を来し、社会生活を円滑に過ごすことができなくなります。

この項目では、うつ病の現状や治療、躁うつ病との違いについて解説しています。

うつ病の現状

厚生労働省の「自殺・うつ病等対策プロジェクトチームのとりまとめ」によると、平成8年には43.3万人だったうつ病等の気分障害の総患者数は、平成20年には104.1万人と12年間で2.4倍に増加していることがわかりました。

これは、医療機関に受診している患者数を表しているため、医療機関を受診できていないうつ病の人とあわせると、実際にはもっと多くなることが考えられます。

うつ病の診断基準

うつ病の診断基準には、アメリカ精神医学界が発行している「DSM-5(精神疾患の診断と統計マニュアル第5版)」に基づき、以下のようなものがあります。

  • 抑うつ気分が1日以上続く
  • 興味や喜びが持てない、または喜べなくなる
  • 体重の減少や増加、食欲の減退や増加
  • 不眠や過眠
  • 焦燥感、疲労感、気力の減退
  • 無価値観、罪責感
  • 思考力や集中力の減退
  • 自殺念慮や自殺企図

これらの症状が2週間以上毎日続いていることが診断の条件です。また、日常生活において著しい支障を来していることも重要な基準になります。

うつ病の三大症状と三大妄想

うつ病には、抑うつ、不安、意欲低下といった三大症状があります。

診断基準にもあるとおり、この三大症状があることで日常生活に支障を来してしまうのです。精神面だけではなく、身体面にも大きく影響します。

また、うつ病には三大妄想と言われる以下の妄想もあります。

  • 心気妄想(自分が大変な病気にかかっていると思い込む)
  • 罪業妄想(他人に対して失礼なことをしたとか、迷惑をかけたと思い込む)
  • 貧困妄想(お金は十分にあるのに暮らしていけないと思い込む)

うつ病の治療

うつ病を治療するためには、休養することや薬物療法、精神療法が必要です。

まずは休養です。ストレスから離れて、心身共にゆっくり休める環境が必要です。仕事によるストレスでは、異動や退職など休養できるようにしましょう。

次に薬物療法です。抗うつ薬や睡眠薬など自分の状態にあった薬を病院やクリニックで処方してもらい、脳の機能回復を図りましょう。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)、NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抑うつ剤)などの抗うつ薬が使用されます。

うつ病の治療には、精神療法やカウンセリングがあります。うつ病を引き起こす原因はひとつではありません。休養と薬物療法だけではなく、ストレスをため込みがちな性格傾向や考え方を変えることも大切です。

精神療法やカウンセリングでは、うつ病が再発・再燃しないために思考や行動のパターンを見直していけるようにしていきます。

うつ病は治るのか?

うつ病の治療期間には、「急性期」「回復期」「再発予防期」に分かれます。個人差はありますが、より早期に対応することが重要です。

良くなったと感じたときに、治療を自己中断してしまうと症状が悪化して再発してしまいます。医師の指示のもと、治療を継続していきましょう。

そこで気になるのが、「うつ病は治るのか?」ということです。これも個人差がありますが、一般的には6ヶ月から1年ほどで回復するといわれています。

薬を飲めば治るということだけではないので、時間をかけて治療を続けていきましょう。

うつ病と躁うつ病(双極性障害)の違い

うつ病と躁うつ病は同じと考えている方もいらっしゃるかもしれません。

躁うつ病とは双極性障害といい、気分の状態が全く異なる病気です。うつ病とは、気分の落ち込みややる気がなくなったり、眠れなくなったりする病気です。

双極性障害とは、うつ状態と躁状態または軽躁状態を繰り返すことです。躁状態とは、普段の性格とは違い気分が高揚して異常にハイテンションとなる状態です。うつ状態の症状においては、うつ病の時とほとんど同じです。

双極性障害が発症するのは、遺伝的な要因や社会的・環境的な要因も関係しています。

うつ病で相談できない本人や家族の理由

うつ病になり気分が落ち込みやる気が出ないことで、家族や他人にも相談できなくなってしまいます。

けがや病気の治療で病院を受診することと違って、うつ病で相談できない理由があります。

この項目では、本人や家族が考える相談できない理由について解説しています。

相談できる人がいない・理解してもらえるか不安

うつ病であることを相談する人がいないことが一番苦痛です。うつ病のことを理解してもらえるのか、自分自身の性格の問題だと言われるのではないかと言った不安もあるでしょう。

一般的には、職場や周囲に対して「悩みを理解してもらえそう」とか、「話を聞いてもらえそう」と考えて相談するものです。そういった相手ではないと考えてしまい、一人で抱え込んでしまいます。

もともと人に相談できない

もともと性格的に人に相談できない人もいます。そういった性格であれば、うつ病になっても周りに相談できない可能性も高いです。

相談すること自体が相手に迷惑をかけると考えてしまう

うつ病になった自分の悩みとか相談をすること自体、その話を聞いた人が迷惑をかけてしまうのではないかと考えてしまう人もいるでしょう。

考え込んでしまうとどんどん悪い方向に思考が向いてしまい、一人で抱え込んでしまいます。

他人が信じられない

うつ病になると、他人のことを信じられなくなってしまう人もいます。そのままだと重度うつ病になってしまい、妄想がひどくなる可能性があります。

誰かに聞いてもらうことで楽になるのですが、他人を信じられない性格であったりうつ病によって信じられなくなることで一人で抱え込んでしまいます。

うつ病だと他人に知られたくない

うつ病になったと他人に知られたくないことで相談できない人もいます。

これも、周囲に迷惑をかけるのではないかと考えていたり、相談できないと考えている場合もあります。

隣近所や世間体を気にして病院やクリニックを受診することを躊躇する人もいるかもしれません。

うつ病の相談窓口

うつ病の診断を受けてはいないけど、「うつ病かも?」と感じたときに相談できる窓口を知っておくことも大切です。

この項目で詳しくみていきましょう。

保健所・精神保健福祉センター

心の健康状態が気になるけど、病院やクリニックを受診すべきかどうかわからない場合には保健所や精神保健福祉センターへ相談することもよいでしょう。

市区町村窓口やホームページに電話番号が明記されています。相談はいずれも無料(通話料はかかります)で、秘密も守られます。

保健所や保健センターでは、医師などこころの専門家に相談することもできます。

電話相談窓口

全国共通の「こころの健康相談統一ダイヤル」があります。ここに電話すると、地域の公的な相談窓口を教えてくれます。

この相談も無料(通話料はかかります)で、秘密も守られます。

精神科・心療内科

直接精神科病院や心療内科を受診しても良いでしょう。

初診の時には、症状がでるまでの状況を詳しく聞いてくれます。それから医師の診察・カウンセリングから治療が開始となります。

医療機関への受診はハードルが高いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、少しでも早く受診・相談することでご自身の苦痛が軽減されます。

精神科領域の専門知識のある訪問看護ステーション

最近増えてきたのが精神科領域の専門知識のある訪問看護ステーションです。

いきなりサービスを受けるのではなく、自分自身がどうしたら良いか迷っていたら相談するのも良いでしょう。

精神科領域の専門知識があるということは、精神科病院での勤務経験や在宅療養看護の経験があるため、ご自身の苦痛を理解でき適切な相談窓口を教えてもらえる可能性があります。

相談方法のメリットとデメリットを知る

ここまで解説した相談方法ですが、メリットとデメリットを知っておくことが大切です。

自分に合った相談方法を知っておきましょう。

電話相談

電話相談では、顔が見えないメリットがあるため人見知りな性格であったり、窓口に直接出向くと言った行動が必要ありません。相談料は無料ですが、通話料がかかることを忘れないで起きましょう。

デメリットは、薬物療法や医師の継続的な診察を受けているわけではないので、顔が見えないことでわかる部分もわかってもらえず、治療を継続するという面では一時的なものともいえます。

相談窓口に直接出向く

相談窓口に直接出向き、相談することで自分の話を聞いてもらうことができます。

しかし、うつ病によって外出しずらかったり、話すのも億劫になっている場合は上手く伝えることができない可能性もあります。

また、相談窓口で長時間話すことができない場合もあります。

LINEなどのチャット

最近は、LINEなどのチャットで相談するケースもあるでしょう。この方が相談しやすいと感じる方もいらっしゃると思いますが、文章だけでは伝わりにくい感情やご自身の雰囲気などもあります。

簡単ではありますが、電話相談と同様で医師からの継続的な診察やカウンセリングはご自身の希望通りにならない可能性もあります。

相談する前に準備しておくと良いこと

相談窓口を利用する前に準備しておくと良いことがあります。

この項目でみていきましょう。

相談内容をまとめる

まずは、自分がどのようなことを相談したいかをまとめておきましょう。

話し始めたときに、話したいことを沢山話してしまい相手に伝わりにくくなることがあります。うつ病では考えがまとまらないことも少なくありません。伝わりにくくなるかもしれないと不安になりすぎなくても良いです。

まとめかたは箇条書きで十分です。たとえば、「眠れない」「やる気が出ない」「仕事で上司に叱咤されて苦痛」など、簡単な表現をしましょう。

身体面だけではなく、「仕事を休職できるか」や経済的な問題も相談しましょう。

一番つらいことをはじめに伝える

人に考えを伝えるときには、結論を先に伝えると伝わりやすいです。

相談するときに、できるだけ一番つらいことをはじめに伝えてみましょう。うまく伝えられるか不安になるかもしれませんが、できるだけで良いです。

一番つらいことを少しでも解決できるようにしていきたいですよね。

相談しやすい方法を選択する

相談窓口のメリットやデメリットを解説していますが、自分にあった相談方法を選択するのも大切です。

医療機関への受診においてもオンラインを設けているところもあります。

相談すること自体が負担にならないようにしていきましょう。

うつ病の悩み相談は自分に合った相談方法を利用しましょう

いかがでしたか?うつ病で悩む人や家族は意外と多いですし、相談できないという理由も同じであると感じた方も少なくはないでしょう。

同じ悩みとはいえ、個人的な問題も含めて自分に合った相談窓口を利用して、じぶんらしくせいかつをおくれるようにしたいですよね。

自分は、または家族としてはどんなことを悩んでいるか、どうしていきたいかをできるだけ具体的にしておくとよいでしょう。

しかし、具体的に考えることすらできない状態もあります。そのときには、どうして良いかわからないとそのまま相談窓口で話すことをおすすめします。決して無理してはいけませんので、そのままで大丈夫です。

うつ病で悩む本人や家族の方が少しでも安心して生活できるようになるよう、利用できる窓口を持っておきましょう。