コラム
精神科訪問看護は自宅外も訪問してもらえる?施設への訪問は?

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・精神科訪問看護で自宅以外にはどんな場所があるのか知りたい

・精神科訪問看護は自宅以外にも訪問してもらえるの?

・自宅だけではなく施設への訪問は可能なの?

精神科訪問看護において自宅以外への訪問が可能かを知りたい利用者や家族もいらっしゃるでしょう。

自宅外の訪問や施設への訪問は可能なのでしょうか?

答えは「自宅以外の施設への訪問は可能だが、病院や介護医療院への訪問はできない」ということです。

そうはいっても、自宅外にはどのような場所があるのでしょうか。また、どういうことをしてくれるのか、施設への訪問で気を付けておきたいことを知りたいですよね。

今回は、精神科訪問看護で自宅以外に訪問する場所と、利用方法・契約の違い、精神科訪問看護を利用するメリットについて解説しています。

訪問看護を利用しようと考えている方、精神科訪問看護を利用したい方、精神科訪問看護で働こうと考えている方は、是非ともこの記事を参考にしてみてください。

精神科訪問看護とは

精神科訪問看護とは、精神疾患によるサポートが必要な方に対して、ご自宅やグループホームへ訪問看護師が訪問し、精神科医療に関する専門的な助言や支援を行うサービスです。

住み慣れた環境で専門スタッフのサポートを受けることで、不安を解消し安心して生活を送ることができます。

精神科訪問看護では、精神疾患を持っていたり精神的なサポートが必要な方へ社会生活機能の回復を目的としてさまざまなサービスを行います。

訪問する看護師は、精神科領域の研修を受けていたり、精神科病院の勤務経験があったりと専門的な知識と経験を持ち合わせています。また、精神保健福祉士や作業療法士がご自宅へ訪問することもできます。

精神科訪問看護で自宅以外に訪問する場所とは

訪問看護といえば、利用者の自宅へ訪問して看護サービスを受けるのがほとんどです。また、自宅への訪問をするのが主であり、他には考えられないという方もいらっしゃるでしょう。

しかし、利用者の状況によっては自宅での訪問が困難なケースもあります。

精神科訪問看護において、自宅以外に訪問できる場所はあるのでしょうか。

この項目では、精神科訪問看護における自宅以外に訪問する場所について解説しています。

有料老人ホーム

有料老人ホームに関わる制度とは、老人福祉法第29条第1項に基づき、高齢者の福祉を図るため、その心身の健康保持及び生活安定のために必要な措置として設けられている制度です。(厚生労働省、​​社保審ー介護給付費分科会、第179回、資料7参照)

有料老人ホームとは、高齢者を入居させ、以下のサービスのうち、いずれかまたは複数のサービスを提供しているものをさします。

  • 食事の提供
  • 介護(入浴・排泄・食事)の提供
  • 洗濯・掃除等の家事の供与
  • 健康管理

有料老人ホームは、特定施設入居者生活介護の対象と指定を受けている「介護付き有料老人ホーム」と、指定を受けていない「住居型有料老人ホーム」があります。

特定施設入居者生活介護とは、特定施設に入居している要介護者を対象として行われる、日常生活上の世話や機能訓練、療養上の世話のことです。

特定施設の指定を受けるためには、市町村と都道府県での事前相談が必要です。その後、建築確認の申請及び受理を経て施設登録ができます。また、定員30名以上の施設であり、24時間介護サービスを受けられ1日の費用が決まっているといった条件があります。

有料老人ホームを居住場所としており、施設の住所が居住場所となっている場合は精神科訪問看護の利用は可能です。

訪問看護を利用する際には、「一般型」と「外部サービス型」があります。

「一般型」は、施設スタッフが介護サービスを提供しますが、「外部サービス」では、介護サービス以外は外部と契約してサービスを利用できます。

精神科訪問看護を利用する場合、介護付き有料老人ホームへは外部サービス利用型となります。その際には、介護保険ではなく医療保険を使用します。

ケアハウス

ケアハウスとは、家庭での生活が困難な60歳以上の高齢者が、低料金で家事や洗濯などの介護サービスを受けられる施設です。身寄りがなく1人暮らしをしている方や自立して生活するのが難しい高齢者を対象としています。

ケアハウスは、軽費老人ホームともいい、有料老人ホームと同様の特定施設の対象となります。

ケアハウスも外部サービスとして精神科訪問看護を利用することが可能です。その際も、介護保険ではなく医療保険を使用します。

特定施設の指定を受けていないケアハウスへの訪問看護を希望する場合は、個人で契約して精神科訪問看護を利用することが可能です。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅とは、一般的に「サ高住」とも呼び、国土交通省・厚生労働省が所轄する「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」に基づいています。

この施設は、主に介護度が高くない60歳以上の自立した高齢者を対象としたバリアフリーの賃貸住宅です。一般的な住宅と同じように自由なくらいをして安否確認サービスや生活サービスを受けることができます。

サービス付き高齢者向け住宅では、高齢者住まい法第5条に基づき、状況把握サービスと生活相談サービスを提供するなど、以下の基準を満たす高齢者向け賃貸住宅等の登録住宅のことです。(厚生労働省、​​社保審ー介護給付費分科会、第179回、資料7参照)

  • ハード面:床面積は25㎡以上、バリアフリー(廊下はば、段差解消、手すり設置)等
  • サービス:少なくとも、①安否確認サービス、②生活相談サービスのいずれかを提供

このサービス付き高齢者向け住宅とは、特定施設に指定されている施設へは外部サービス型として精神科訪問看護を利用できます。その際にも、介護保険ではなく医療保険を利用します。

また、特定施設入居者生活介護の指定を受けていないサービス付き高齢者向け住宅に入居中で訪問看護の利用を希望した際には、個人として訪問看護事業所との契約をすれば利用は可能です。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームとは、常時介護が必要で自宅での生活が困難な高齢者が入居できる施設です。入浴、排泄、食事などの日常生活の介助、機能訓練や健康管理及び療養上の世話を受けられます。

特別養護老人ホームでは、末期癌の方のみ医療保険で外部サービスとして訪問看護を利用可能で、精神科訪問看護も利用可能です。

最近では、特別養護老人ホームで看取りにも対応している施設が増加し、終の棲家として入居を希望する高齢者も増えています。

短期入所生活介護(ショートステイ)

短期入所生活介護(ショートステイ)とは、特別養護老人ホームなどに短期入所して、入浴や排泄、家事などの介護や日常生活の世話、機能訓練を行うサービスです。

ショートステイを利用している期間、介護から解放されることで利用者家族にとって自分の時間を保つことができたり、介護負担の軽減を図ることができます。

ショートステイ利用中でも末期癌の方のみ、外部サービスとして医療保険で訪問看護の利用が可能です。

グループホーム

グループホームとは、認知症のある高齢者が、介助を受けながら共同生活を送る施設のことです。ユニットという5人から最大9人の少人数グループで暮らすことを基本としています。

グループホームでは、介護保険ではなく医療保険で訪問看護を利用できます。

対象者は、主治医の特別訪問看護指示書交付を受けている場合、厚生労働省が認める疾患がある場合に利用可能です。

精神科訪問看護も利用可能です。

小規模多機能型居宅介護(宿泊のみ)

小規模多機能型居宅介護とは、介護保険サービスの一つで、中〜重度の要介護者でも自宅での生活が継続できるように支援するサービスのことです。

「通い」「訪問」「宿泊」の3つのサービスを受けられます。この「宿泊」のみ、医療保険を使用し訪問看護を利用することができます。

利用条件としては、主治医の特別訪問看護指示書交付の場合などに訪問可能です。

精神科訪問看護を利用する際の違い

一般的な訪問看護と精神科訪問看護を利用する際の違いがあるのをご存知でしょうか。

これまで解説した項目内にも「医療保険」や「介護保険」について触れていますが、この違いについてこの項目で解説しています。

介護保険と医療保険のどちらを利用するのか

訪問看護において、介護保険を受けているかどうかで介護保険と医療保険のどちらを優先するかを判断します。

介護保険の主な利用条件は、以下の3つがあります。

  • 医師から訪問看護指示書の交付があること
  • 要介護や要支援認定を受けた65歳以上の人
  • 要介護や要支援認定を受けた40歳以上65歳未満で第2号被保険者16特定疾病を保つ人

これらの条件があり、認定を受けている場合は介護保険が優先されます。

他に医療保険が優先されるのは、厚生労働大臣が定める疾病等の方、主治医から精神科訪問看護指示書や特別訪問看護指示書が交付された場合です。

介護保険と医療保険を併用して利用することはできません。

精神科訪問看護においては、原則として医療保険での利用が優先されます。

特定施設の指定を受けている施設(一般型)

特定施設の認定を受けている施設とは、利用者が自立した日常生活を送れるように施設内で食事や入浴などの日常生活の支援や機能訓練などを提供する施設のことです。

特定施設とは、以下の条件があります。

  • 定員が30人以上の施設
  • 都道府県から「特定施設入居者生活介護」の事業者指定を受けている
  • 24時間介護サービスを受けられ、1日の費用が決まっている

これらを満たした有料老人ホーム、ケアハウス、サービス付き高齢者向け住宅のことを特定施設としています。

この施設では「一般型」と「外部サービス」と2つのサービス形態があり、「一般型」では、特定施設の従業員が介護サービスを提供します。

特定施設の指定を受けている施設(外部サービス型)

特定施設を受けている施設において、外部サービス型としているサービス形態としては、特定施設の従業者により作成された計画に基づき、外部のサービス事業者が介護サービスを提供します。

この場合、精神科訪問看護の利用は外部サービスとして契約を結んで利用が開始となります。

特定施設の指定を受けていない施設

特定施設の指定を受けていない施設を利用している方は、訪問看護の利用はできないのでしょうか。

特定施設の指定を受けていない施設を利用している方は、個人で契約することで精神科訪問看護を利用することが可能です。

精神科訪問看護で訪問できない施設

これまで解説してきた施設以外には、精神科訪問看護の利用は可能なのでしょうか。

この項目で解説します。

介護老人保健施設

介護老人保健施設とは、介護を必要とする高齢者の自立を支援し、家庭への復帰を目指すための施設です。長期入院をしていた方が、退院して自宅へ戻るまでに利用されることが多く、介護保険が適用されます。

介護老人保健施設に入所している方は、在宅であるとは認められないため訪問看護の利用はできません。

介護医療院

介護医療院とは、療養病床等を有する病院または診療所において医療療養型病院の受け入れ対象から外れてしまった方や、介護施設では対応できない医療的ケアを望む方などが生活できる施設です。

要介護者に対し、施設サービス計画に基づき、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護および機能訓練、そのほか必要な医療並びに日常生活の世話を行います。

介護医療院の入居条件には、「要介護認定を受けている人」となっており、要支援の方は入居できません。

これらのことから、在宅であるとは認められないため訪問看護の利用はできません。

病院

病院に入院中の方も、在宅で生活しているとは認められないため訪問看護の利用はできません。

精神科訪問看護を利用するメリット

訪問看護だけではなく、精神科訪問看護を利用するメリットにはどんなことがあるのでしょうか。

この項目で詳しく解説します。

看護師から専門的ケアを受けられる

精神科訪問看護を利用することで、看護師から専門的ケアを受けられます。

日常生活の支援が必要な場合、施設スタッフや家族だけでは負担が大きかったり、自分で問題解決ができない場合もあります。

そういった時に問題解決へ向けて看護師から支援を受けられることがメリットといえます。

一般型施設看護師との連携が取れる

一般型施設に入居中の場合、施設の看護師と訪問看護師とで連携を取ることで細かい気づきをケアにつなげることができます。

場合によっては主治医へ早期に連絡して対応をしなければならなかったりもします。

精神科の経験がない施設看護師にとっても、精神科訪問看護師の訪問によって対応の相談ができることで利用者にとっては大きなメリットでもあります。

主治医へ詳しく状態報告ができる

受診の際に医師からの説明を理解することが不安だったり、自分の訴えをうまく伝えられなかったりした場合に、日頃関わりのある訪問看護のスタッフが同席することでやりとりがスムーズになります。

普段の生活状況や困りごと、うまくいかないことなどを訪問看護スタッフの同行によって医師へ報告することもできます。

精神疾患の状態によっては、普段はうまく話せるのに病院ではうまく話せなくなったり、その日によって体調が大きく変化する方もいらっしゃいます。

そういった細かい変化などを普段関わりのある訪問看護スタッフが仲介役となって報告してもらえます。

精神科看護の専門の看護師が対応できる

先述した通り、精神科の経験がない看護師にとって精神疾患を持つ方への対応が難しいと感じてしまう場面があります。

そういった時に、精神科訪問看護の専門の看護師が対応することで、より良い状態へ向けての支援を行えます。

普段では気付かない変化に気付ける

精神科訪問看護だからこそ、普段では気付かない変化に気付けます。

例えば、表情や言動、行動などの変化から病状が悪化しているのではないか、病院受診のタイミングなどを相談して専門的な視点から看護ケアが実践できます。

精神科訪問看護は自宅以外にも訪問できるのでうまく利用しましょう

いかがでしたか?訪問看護といえば、自宅のみの利用と思っている方も少なくないでしょう。

実は、自宅以外の施設にも訪問が可能であることを今回はご理解いただけたと思います。

施設での訪問看護を利用したいと思っていても、元々看護師がいるから無理なのではないかと考えがちです。しかし、看護師がいても特定施設の指定を受けている一般型であれば利用できますし、外部サービス型であれば個人で訪問看護ステーションと契約すれば利用は可能なのです。

精神科訪問看護を知ることと、自宅以外への訪問が可能であることを理解し、自分に合った利用方法を選択していけるようにしていきましょう。

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